「アトピー性皮膚炎は鍼灸でよくなりますか?」というご質問に関して。
結論から申し上げますとしっかり集中すればほとんどの場合で状態は改善します。ただし時間がかかることもありますし、あくまで補完的な施術となります。鍼灸をしていれば何をしなくてもいいという意味ではありません。極端な治療をお勧めすることはありません。現代医学的な治療を否定することもありません。
鍼灸とアトピー性皮膚炎の論文はたくさん出ているのですが一例をあげますとこちらの論文には抗ヒスタミン作用があることや脳に働きかけかゆみや痛みを鎮めることなどが書かれています。東洋医学的には筋肉を柔らかくし血の巡りをよくすることで症状が安定すると考える方が多いです。時間さえかけて鍼灸治療すればほとんどの場合で症状は安定します。
現代医学的には・・・現段階ではアトピーの根本的な治療法は確立されていません。ステロイド外用薬が治療の中心となります。これは症状を抑えるための対症療法です。しかしステロイドや対症療法がダメという意味ではないです。症状を抑えることが非常に良いこともあるのです。かゆくて寝れないときなどはQOL(生活の質)を考えて上手に使うことも大事です。「脱ステロイド」のようにあまり極端な治療はお勧めしません。もちろん、マイナス面もあります。ステロイドとは、副腎皮質から自然に分泌されるホルモンの一種で、免疫を高める作用があります。そのホルモンを外用薬として一時、人工的に補うことで皮膚症状を楽にしますがステロイドを長期間大量に使用すると、逆に副腎皮質が機能低下を起こしてしまいます。その結果、皮膚がちりめん状に縮んだり、色素沈着を起こしたりします。
鍼灸では何ができるか??鍼灸医学に「アトピー」という考え方はありません。赤い湿疹や痒みを体質の変化や臓器の失調、環境からの影響として捉えます。長年アトピーに悩んでこられた患者さんには肩こり、便秘、顔のほてりと足の冷えなど様々な随伴症状が見られます。とくにアレルギーと便秘などおなかの状態を関連付けて考えることが多いです。こうした症状を同時に治すこともアトピー性皮膚炎の治療には欠かせません。自律神経や免疫系を安定させる目的でも鍼灸を行います。得に筋肉が固い方には念入りに鍼灸施術をします。柔らかくし気血水の流れをよくすることが早期改善につながると考えます。最初は週に1,2回の施術をし治療に集中することをお勧めします。またたくさん鍼灸をすれば必ず良くなるという性質のものでもありません。合わない方もいますし、無理なく続けていけるかどうかも肝要です。まずはご相談ください。
<鍼灸とアトピー性皮膚炎解説動画>