解釈モデル・説明モデル。鍼灸臨床現場での医療面接に関して。
医療社会学、医療人類学、医療面接の分野で出てくる「解釈モデル」について説明してまいります。鍼灸臨床現場でも「解釈モデル」の話は関係します。「解釈モデル」は医療人類学者のアーサー位マンによって提唱された概念です。英語ではExpkantory Modelです。それが訳されたものが「解釈モデル」ですが「説明モデル」という言いかたもされることがあります。(日本語に訳された際に、解釈モデル・説明モデルは少し意味が違ってしまった部分もありますがそれは後述します。)
「解釈モデル」とは?
患者が自分の病気について、自分の味方で推測し、自分の言葉で表現し自分の価値観で意味づけた一塊の考え方のことです。★1 実際の医学的な根拠とは異なっていても患者がどのように自身の病気を捉えているか?知る手掛かりになるために重要であると言われています。解釈モデルには以下の内容が含まれるとされています。
①病気の原因は何か?
②症状の始まりとその様子はどのようなものであったか?
③その病気によってどのような生理現象の変化が起こったのか?
④病気の経過はどのようであったか?
⑤どのように治療したらよいか?
これらは順序通り話してくれるとは限りませんし、また専門用語を知らないことを恥じている場合もあります。信頼関係がないと話してくれないのです。また解釈モデルに焦点を当てた場合、患者は以下4つのタイプがあると言われています。
①解釈モデルのある人
②自分だけでは解釈モデルを作れない人
③解釈モデルを持っているがなかなか言い出せない人
④非現実的な解釈モデルを持っている人
・・・臨床現場では治療する側の医師や鍼灸師が「患者の解釈モデルを把握できること」が重要視されます。一方で人類学者が「説明モデル」という言葉を使う際には「医師の(この)病気に対する理解・考え」も含まれます。★2
参考
★1 改訂版 鍼灸臨床における医療面接 丹沢章八(医道の日本社)
★2 医師・医学生のための人類学・社会学(ナカニシヤ出版)