脳血管障害(脳梗塞・脳出血等)の後遺症に鍼灸治療をオススメします。

脳血管障害(脳梗塞・脳出血等)の後遺症に鍼灸治療をオススメします。

脳血管障害の後遺症には鍼灸治療が有効です。それらについてまとめていきます。

脳血管障害とは?

脳血管障害とは、脳の血管に関連する疾患全般を指す言葉であり、脳卒中(脳梗塞や脳出血など)もその一部です。これらの障害は、脳に酸素や栄養が届かなくなり、脳機能に大きな影響を与えるため、早期の予防と対応が極めて重要です。脳血管障害にはいくつかの主要なタイプがあります。それぞれの障害は、脳にどのように影響を与えるかによって異なります。

脳梗塞(のうこうそく):脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶えてしまう状態です。このため、その部分の脳組織に酸素や栄養が届かなくなり、脳細胞が死んでしまいます。主な原因は、動脈硬化や血栓(血の塊)が血管を塞ぐことが多いです。

脳出血(のうしゅっけつ):脳出血は、脳内の血管が破れて出血する状態です。出血によって脳組織が圧迫され、脳機能に障害をきたします。主な原因は高血圧で、特に脳の細い血管が破れることが多いです。糖尿病などの病気も大きなリスクになります。

くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ):くも膜下出血は、脳の表面を覆っている「くも膜」という膜の下に出血が起こる状態です。通常、脳動脈瘤(血管の一部が膨らむ)が破裂することが原因です。このタイプの出血は、突然の激しい頭痛を伴い、重篤な結果を引き起こすことが多いです。

一過性脳虚血発作(TIA: Transient Ischemic Attack):TIAは、一時的に脳の血流が低下し、短時間だけ脳卒中に似た症状が現れる状態です。通常、症状は24時間以内に回復しますが、脳卒中の前兆として見られることが多く、早期の対応が重要です。

脳血管障害の症状

脳血管障害の症状は、障害される脳の部位や範囲によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。

片側の手足や顔の麻痺やしびれ:片麻痺として片側の手足が動かしにくくなります。

言語障害:言葉が出にくくなったり、言葉を理解するのが難しくなる(失語症)。

視覚障害:視野の一部が見えなくなる、物が二重に見えるなど。

バランスの喪失や歩行困難:立ち上がれない、歩くのが難しくなる。

突然の激しい頭痛:特にくも膜下出血では、急な強い頭痛が特徴的です。

意識障害:意識が混濁したり、昏睡状態に陥ることがあります。

脳血管障害のリスク要因

高血圧の管理や糖尿病の治療、コレステロール値のコントロールが重要です。定期的な運動や健康的な食生活、禁煙も予防に役立ちます。発症した場合、早期の診断と治療が重要です。脳梗塞の場合、血栓を溶かす薬や、血流を回復させる手術が行われることがあります。リハビリテーションも、後遺症の回復に大きな役割を果たします。以下のリスク要因が脳血管障害の発症に大きく関与しています。

高血圧:血管にかかる圧力が強くなることで、血管が損傷しやすくなります。

糖尿病:血管を傷つけやすく、脳梗塞のリスクを高めます。

高コレステロール:血管内に脂肪がたまり、動脈硬化を引き起こします。

喫煙:血管にダメージを与え、動脈硬化や血栓形成のリスクを高めます。

不整脈や心臓病:特に心房細動は、血栓ができやすく、これが脳に到達すると脳梗塞を引き起こすことがあります。

その他:運動不足や肥満、過剰なアルコール摂取などの生活習慣もリスク要因となります。

発症後、保険でできるリハビリや期間について

脳卒中後のリハビリテーションは、発症から180日間(6ヶ月間)が保険適用で行える標準的な期間です。入院リハビリ、外来リハビリともに、この期間が保険適用の基準となります。6ヶ月以降は、介護保険を活用したリハビリが主になりますが、患者の状態に応じてリハビリを続けることができます。(鍼灸治療も加えることをご検討ください。)

鍼灸治療のメリット

鍼灸は、伝統的な東洋医学の一部であり、経絡やツボを刺激することで、体の自然な治癒力を高める効果が期待されています。脳血管障害による後遺症は、運動機能や感覚機能、言語機能などの幅広い領域に影響を与えるため、リハビリテーションと併用して鍼灸を行うことで、症状の改善やQOL(生活の質)の向上が期待されます。比較的安全な治療法とされていますが、医師や鍼灸師との連携が重要です。脳血管障害後の状態や他の治療との相互作用を考慮し、鍼灸治療が適しているかどうかを専門家と相談して進めることが大切です。

(1)筋緊張の緩和

脳卒中後の後遺症として、片麻痺や筋肉のこわばり(痙縮)がよく見られます。鍼灸は、筋肉の緊張を和らげ、リラックスさせる効果があります。特に、麻痺が残っている手足の硬直や痛みを軽減することができ、リハビリテーションでの動作の改善をサポートします。

(2)血流の改善

鍼を刺すことで、局所的に血流が改善され、患部の酸素や栄養の供給が促進されます。これは、脳血管障害によるダメージを受けた脳や神経の修復過程をサポートする効果が期待されます。また、血液循環が改善されることで、疲労感やだるさを軽減することができます。

3)痛みの軽減

脳血管障害後に、肩や関節に痛みを感じることがあります。鍼灸治療は、鎮痛作用があり、痛みを緩和する効果が期待されます。特に、片麻痺の側で感じる肩の痛みや腰痛などの改善に役立ちます。

(4)感覚機能の改善

脳血管障害後に感覚麻痺(しびれや感覚の鈍さ)が残る場合があります。鍼灸は、神経伝達を活性化させ、感覚の回復を助ける効果があるとされています。特に、触覚や痛覚の回復を促すことが期待されます。

(5)自律神経の調整

脳血管障害後、体内の自律神経のバランスが乱れることがあります。これにより、ストレス、睡眠障害、消化不良、血圧の変動などが発生することがあります。鍼灸は、自律神経のバランスを整え、全身の調和を促進する作用があります。これにより、心身の安定やリラックス効果が得られることが期待されます。

(6)精神的なリラクゼーション

鍼灸治療は、身体だけでなく、精神的なストレスや不安を軽減する効果もあります。脳血管障害後の不安感や抑うつ状態を改善するために、鍼灸が心のバランスを整えるサポートになることが報告されています。

(7)生活の質(QOL)の向上

脳血管障害後の後遺症によって日常生活が制限されると、患者の生活の質が低下することがあります。鍼灸治療によって、運動機能や痛み、疲労感が軽減されると、日常生活の活動がよりスムーズに行えるようになり、生活の質が向上することが期待できます。