腰痛と足のしびれを伴う腰痛(脊柱管狭窄症)と鍼灸の効果
腰痛症状で来所される方は多いです。腰痛の原因は様々ですが鍼灸でよくなる根拠や効果をまとめていきます。また、例えば椎間板ヘルニアになっている状態が鍼をすることで灸をすることで「元通り正常にになる」ということではなく症状が改善されて痛みやしびれを感じずらくなるということが多いです。*鍼灸は補助療法的な手段である場合もあるため初回に詳しく説明させていただきます。病院への通院や通常医療へのアクセスを否定することもないです。必要に応じて病院の紹介も行います。
(1)腰痛とは?足のしびれとは?
腰痛とは腰部あるいは腰臀部に痛みがある状態で腰下肢症状とは腰部症状とともに足にも症状が出ている状態のことを言います。これらの状態は内臓疾患や心理的要因によっても出現することもありますが筋肉や神経などの組織の問題から起こる腰痛が多いです。腰痛と足のしびれを伴う疾患は様々なものが考えられますがここでは一例として「腰部脊柱管狭窄症」という疾患について考えていきましょう。
(2)鍼灸の主な効果
鍼灸の主な効果としては以下のようなことがあげられます。・ 痛みの抑制
鍼灸の施術を行うと脳内から鎮痛に作用する物質などが出ることもわかっています。
・ 循環の改善
筋肉・神経周辺の血流が改善されます。
・ 自律神経の安定
胃腸の働きなどもよくなります。
・ 過緊張の弛緩(筋緊張緩和)
実はこの作用の効果が大きいかもしれません。筋弛緩作用があるので過緊張がなくなります。筋緊張が改善すると循環も改善され、痛みも抑制され、血流も促進され、自律神経の安定作用もあるのです。
(3)腰部脊柱管狭窄症の鍼灸臨床研究
様々な論文や臨床研究が存在しますがここでは粕谷大智先生 らの腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療の臨床的研究という論文をもとに考察していきます。
対象
対象患者は間欠性跛行を主症状としMRI.CTなどの画像所見からLCSと診断された62例であり,男性36例,女性26例で,年齢は平均67.3歳。
鍼治療
自覚症状や理学的検査、画像所見より判断した責任高位とされる狭窄部周囲の筋緊張や循環状態に変化を与えることを主に目的に行った。具体的には,椎間関節部(椎骨棘突起後縁部より外方2センチを刺入点とする。その際に臀部または下肢に放散痛を感じることがある)や椎間孔に近い部位(椎骨棘突起部より下方3センチを刺入点とする。その際に自覚症状のある部に放散痛や痺れ感を伴う)を、馬尾型に対して腰椎の棘突起間や椎間関節部周囲,第2仙骨孔の位置にある次膠穴を中心に症例に応じて置鍼(15分間)・雀啄などの普通鍼や低周波通電〔1 HZ・15分間)を行った。治療間隔は週1回で,3ヶ月時に治療効果の判定を行った。
結果
62例の治療成績は著効14例、有効17例、やや有効19例、無効12例
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無効なものも多いものもよくなっているケースが多い印象である。
(4)まとめると・・・
筋緊張が改善されると、痛みが抑制される血流が促進され循環が改善されます。良い循環になることが多いです。また例えば下肢の痺れや冷えで悩む方に灸施術を行うと最初は感覚が鈍くなってるために熱さを感じない方も多くいますが「熱さを感じる(知覚神経刺激)→血流が促進→循環が促進」という反応が起こり、好循環に導くこともできます。その結果痺れや痛みなどの症状が改善されることも多いのです。お悩みの方はまずは一度ご相談ください。