寝違え(根違い)と鍼灸治療について。
寝違えとは?症状は?
「寝違え」は、日本語で「ねちがえ」と読み、首や肩などの体の部位が、寝ている間に突然痛くなる現象を指します。正式な医学用語ではなく四十肩やぎっくり腰と同じく俗称になります。この状態は、特に朝起きたときに感じられることが多く、首や肩の筋肉や関節が不自然な位置になってしまったり、強い緊張を受けたりして起こることがあります。
寝違えの症状には、次のようなものが含まれることがあります。
- 首や肩の急な痛みやこわばり
- 頭を動かすと痛みが増す
- 首や肩の動きが制限される
- しばしば寝ている間に起こり、朝起きたときに痛みを感じることが多い
筋肉の不自然な緊張や関節の位置がズレることによって引き起こされることがあります。枕や寝姿勢、寝床の硬さなどが関与する可能性もあります。症状は軽度な場合もあれば、しばらくの間続くこともありますが、大抵は数日から数週間で自然に改善することが多いです。冷やしたり安静にしていれば早く治るでしょう。しかし、寝違えが強い痛みや長期間の症状を引き起こす場合は、医師に相談することがおすすめです。また、寝具や寝姿勢の改善、適切なストレッチや軽い運動などが、寝違えの予防や症状の軽減に役立つことがあります。
寝違えになりやすい人とは?どんなタイプの人がいますか?
以下のような要因が関与する可能性があります。
姿勢や筋肉の偏り: 日常生活での姿勢の偏りや、特定の筋肉の強張りがある場合、寝違えのリスクが高まることがあります。例えば、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用によって首や肩の筋肉が緊張し、そのまま寝ることで痛みが引き起こされることがあります。
- 枕や寝具の選択: 枕やマットレスの硬さや高さが合っていない場合、首や肩の位置が不自然になり、寝違えを引き起こす可能性があります。適切な枕とマットレスの選択が重要です。
- ストレスや疲労: ストレスや疲労が蓄積されていると、筋肉の緊張が高まり、それが寝違えを引き起こす要因となることがあります。
- 運動不足: 適切な運動をしていないと、筋肉のバランスが崩れやすくなり、寝違えのリスクが増加する可能性があります。
- 加齢: 年齢とともに筋肉や関節の柔軟性が低下するため、寝違えの発生リスクが高まることがあります。
- 体の冷え: 寝るときに体が冷えていると、筋肉の収縮が起こりやすく、これが寝違えの一因となることがあります。
- 前歴: 過去に寝違えの経験がある人は、再び寝違えになる可能性が高くなることがあります。
これらの要因が個々の人によって異なるため、寝違えを予防するためには、適切な姿勢や枕の選択、運動習慣の確立、ストレスの管理など、自身の生活状況に合わせた対策を取ることが重要です。また3月や年末などの飲み会シーズンには寝違えを発症する人が多いです。エビデンスやデータなどは存在しませんが理由は以下のようなことが考えられます。
- 筋肉の緊張: 飲酒を過度に摂取すると、筋肉の緊張が増加することがあります。これはアルコールが神経系に影響を与え、筋肉のコントロールが難しくなることが関与しています。この緊張が寝ている間に持続すると、寝違えのリスクが高まる可能性があります。
- 不安定な姿勢: 酔った状態では、バランスを保つための筋肉の働きが低下することがあります。そのため、寝ている間に不安定な姿勢で体を支えることが難しくなり、不自然な体勢で寝てしまうことがあります。これが寝違えを引き起こす可能性があります。
- 睡眠の質: 飲酒は睡眠の質を低下させることがあります。質の低い睡眠は、体の各部位が適切な位置に保たれないまま寝ることにつながり、寝違えのリスクが増加する可能性があります。
- 脱水: 飲酒は脱水を引き起こす可能性があります。脱水は筋肉や関節の正常な動作を妨げる可能性があり、これが寝違えの一因となることが考えられます。
ただし、飲酒と寝違えの関連性は個人差があり、必ずしも全ての人に当てはまるものではありません。飲酒が原因で寝違えになるかどうかは、その人の体の状態や飲酒の習慣、その他の要因によって異なる可能性があります。適度な飲酒と適切な姿勢、睡眠環境の確保が寝違え予防に役立つことがあります。
寝違えと頸椎捻挫の違いは何ですか?
どちらも首や頸部に関連する問題ですが寝違えは俗称、頸椎捻挫は医学用語であり医師の診断名になりえるという違いがあります。
ダルビッシュ有投手の寝違えについて
2014年にダルビッシュ投手の寝違えを解説してほしいとの依頼を受け週刊誌に情報提供をしたことがあります。ここ最近は寝違えしているという話を聞かないので筋肉の状態はいいのかもしれません。余談ですがダルビッシュ投手は火を使わないお灸「太陽」を愛用しているそうです。これはあくまでも想像と期待にすぎませんが、もしかしたらお灸が良い状態をキープするのに役に立っているのかもしれませんしそうだったらうれしく思います。
寝違えと鍼灸治療(田無北口鍼灸院白石の見解)
寝違えに対して鍼灸治療が効くかどうかという高いエビデンスは存在しません。これは鍼灸の特性によるもので大規模な臨床試験を実施しずらいからという理由があります。しかしながら鍼治療には筋肉を緩めたり痛みを緩和させる効果があるため私個人の経験からは「効果がある」と断言できます。
寝違えやぎっくり腰は強い痛みを伴うこともあるため、心配になる方もいらっしゃると思いますが痛みを緩和させるだけなら治療としては難しくない部類に入ります。患部を冷やしたり安静にし、痛みが出ないように固定し、鍼を使って周辺の筋肉の緊張をとればほとんどの人が早期に改善します。
注意すべき点は、「寝違えだと思ったら実は・・・」、「ぎっくり腰だと思ったら実は・・・」のように病気が隠れている場合です。以前もぎっくり腰だと思ったら骨嚢胞だったというケースを紹介しましたが現実として病気が隠れていることもあるため注意しなければいけません。そのため弊所では何度か施術しても改善しない場合や、逆に悪化している場合は速やかに病院での精密検査を勧めています。
また繰り返し起こる寝違えがある場合にはなにが原因かを早期に確かめたり、その対策も必要になってくるでしょう。
参考
日本整形外科学会「寝違え」
動画はこちらから