病気や障害を持つ当事者との関わり方チェックリスト
鍼灸治療を行っていると病気や障害を持つ人とのかかわりは日常茶飯事です。彼らの病気や特性について理解することは大事ですが、その病気や障害を実際に経験したことのない治療者がどこまで理解し支援できるのか?その距離感はとても大切な問題になります。(仮に同じ病気を経験していた場合にもその経験は人それぞれで異なるしょう。)そのため、自分自身が間違った関わり方になっていないか?常に自分に問いかけることが出来るチェックリスト作成しました。
関わり方のチェックポイント(プロトコル原案)
1. まず、自分の立場を確認する
・「自分は当事者ではない」ことを認識しているか?
・「鍼灸師として何ができるか?」にフォーカスしているか?
・相手の主体性を尊重し、自分が主役にならないように意識できているか?
・「わかった気にならない」を徹底できているか?
2. 情報収集のスタンス
・ 相手の活動や興味について、自分なりに調べたか?※ ただし、調べすぎて「専門家ぶる」必要はない。
・「こんなのもあるんですね」と自然な関心を持てるか?
・関連分野にも少しだけ視野を広げたか?(雑談レベル)
3. 身体的サポート(鍼灸師として)
・クライアントの活動(移動・発信・実演等)に伴う身体的負担を考慮できているか?
・筋緊張・疲労・ストレス緩和の施術を、本人の希望に応じて提供できているか?
・活動の動作特性(例えば腕や肩への負担など)を考慮した施術ができているか?
・施術後の変化をフィードバックし、彼が「動きやすくなった」と感じる施術を探れているか?
4. 精神的サポート(メンタル・対話)
・クライアントが「話を聞いてほしいとき」と「聞いてほしくないとき」を見極められているか?
・「どんなサポートが必要か?」を直接聞くスタンスで関われているか?例:「あなたがそれをする中で何か負担になってることあります?」
・押し付けるのではなく、「求められたら動く」スタンスを守れているか?
・クライアントの話を引き出す質問ができているか?例:「その活動をする上で、一番大変なのってどこですか?」例:「最近、新しい取り組みとか考えてるんですか?」
5. ネットワークの活用
・クライアントが必要とする場(福祉施設・医療機関など)との橋渡しができるか?
・自分の人脈を押し付けるのではなく、求められたら紹介できる準備をしているか?
・「こんな人がいるんですが、興味ありますか?」くらいの緩い紹介ができるか?
・クライアントの活動を尊重しながら、必要なら医療や福祉関係者とつなぐスタンスを保てているか?
6. 「出過ぎない」ためのセルフチェック
・「自分の考えを押し付けていないか?」
・「クライアントの活動の邪魔になっていないか?」
・「クライアントがやりたいことをサポートする立場でいられているか?」
・「相手が求めていないのにアドバイスしていないか?」
・「自分が目立つ形で関わっていないか?」
最終チェック
関わる前に、次の質問を自分に投げかけてみる。
・「自分のためにやろうとしていないか?」
・「クライアントのペースを尊重できているか?」
・「クライアントが望んでいないのに、勝手に動いていないか?」
・「わからないことは、ちゃんと『わからない』と言えているか?」
・「自分ができる範囲で、最も誠実な関わり方をしているか?」
まとめ
・「知らないから調べる。でも、専門家ぶらない。」
・「関心は持つ。でも、出しゃばらない。」
・「聞かれたら答える。でも、押し付けない。」
・「手伝う準備はする。でも、無理に関わらない。」