月: 2023年3月

    カッピング(吸玉・吸角)灸療法、オイルトリートメントについて。

    田無北口鍼灸院では鍼灸施術の補助療法として、以下のような施術を流れの中で取り入れて行います。(それのみ、の施術は承っておりません)

    カッピング灸療法:痕が残るのが嫌な方には無理にオススメはしませんが鍼灸施術にプラスして行うと、効果が高いために症状改善目的でも美容目的でも施術を行うことが多いです。

    オイルトリートメント(薬物灸) :美容だけでなく保湿にも効果があります。麻の実、馬油、エミューオイルなど・・・コンディションや状況に合わせて選べます。フェイシャルや肩甲骨や足などオイルメニューが可能です。鍼灸施術後の、皮膚の赤みを抑える目的でもオイル塗布施術を行っています。

     

     

     

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    吸玉の効果は以下のようなものがあげられます。

    (1)血行をよくする

    吸引圧によって血管を拡張、血液循環を改善する。糖尿病による知覚障害や高脂血症による動脈硬化にも有効。

    (2)血液をきれいにする

    吸引圧により細胞の代謝をスムーズにする。持ち去られた代謝産物は肺や腎臓で処理された以外へと排出される。

    (3)皮膚の若さを保つ

    皮膚血管が拡張し血液循環量が増加・皮膚温も上昇。その結果新陳代謝が盛んになる。

    (4)関節の動きを滑らかにする

    関節周りの血流改善。滑膜からの分泌を促す。

    (5)神経の調整

    自律神経の安定作用がある。

    (6)内臓諸器官を活発にする

    自律神経を介して内臓反射。活発に。

    *緑書房「吸玉療法入門」参考

     

    またスライド法といってカップにオイルをつけ皮膚を滑らせていくやり方があります。リンパを流す目的などで施術を行いますが弊所の施術では行いません。

    コロナ後遺症(ポストコロナ症候群)を訴えやすい人の特徴や慢性疲労症候群(CFS)との類似点

    2023年3/27日現在コロナ後遺症を訴える方が増え、たくさんの相談をいただいてます。「実際にコロナウィルスに感染し、病院で診断され症状も重かった」方や「実際にはコロナウィルスに感染していないものの症状が類似しているため自分はコロナ後遺症ではないかと考えている」方などパターンは様々です。どこからどこまでがコロナ後遺症に該当するのか?はっきりしないことも多いのでまずは詳しい医師からも診察してもらうよう勧めますが、鍼灸治療に期待し相談に来る方はすでに自分でいろいろな治療法を試していて病院へ行って医師の診察を受けていることも多いです。(EAT・上咽頭擦過療法を行ってくれる耳鼻科や漢方に詳しい内科など。)最近ではコロナ後遺症のことを「ポストコロナ症候群(Post-COVID Syndrome)」といういい方がなされることも多いようです。どのような症状なのか?どのような方がなりやすいのか?まとめていきます。

    コロナ後遺症(ポストコロナ症候群)の症状に関して

    原因や機序など詳しくはまだわからないことが多いのですが厚生労働省は症状として「疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下」などを挙げています。*上画像参照(厚生労働省HPより

    どのような方が多いのか?

    上記のように症状は様々ですが不定愁訴、自律神経失調症などと呼ばれるような症状に似た訴えをする人が多いです。また私自身の個人的な感想ですがそのような症状で過去にも悩んだ経験がある方が多いのではないか、という印象があります。「自律神経系の不調で苦しんだことがある。」、「子供のころ過敏性腸症候群のような症状に悩まされていた。」といった声をいただくことが多いのです。精神的なストレスに敏感で自律神経症状を感じやすい方がコロナ後遺症を訴える傾向にあり、又長引く傾向にあることを指摘している医師もいますしかし、それらに関してはまだエビデンスと呼べるほどのデータはそろっていません。

    新型コロナ感染の後遺症リスクが高い人の特徴はBMJという医学誌に掲載されました。それによると新型コロナウイルス感染症の急性期後(回復期・慢性期)の後遺症発症リスクを調べた結果「50歳以上で」「既往症があり」「新型コロナで入院した」に該当する患者が最も後遺症を発症するリスクが高くなったのです。一方で、年齢や既往歴の有無に関係なくメンタルヘルスを発症する患者が増加することも示唆されました。どちらが先で、どちらが結果なのかはまだよくわからないのですがメンタルヘルス(心身症)が影響していることはあるようです。

    慢性疲労症候群との類似性

    また慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)という病気とコロナ後遺症(ポストコロナ症候群)の類似性が多いという現場の声も多いです。米マウント・サイナイ医科大学教授のDonna Mancini氏らが実施した研究では対象者のほぼ半数(46%)がCFSの基準を満たしていたことが明らかになりました。またこの研究論文では対象者の88%に呼吸機能不全が生じていることが判明しました。呼吸訓練を行えば回復も期待できる可能性もあります。

    慢性疲労症候群の診断基準については厚生労働省のホームページより引用し以下紹介しますが、この疾患は「除外診断」といってほかの病気が否定された場合に初めて診断することが出来るのです。診断までに時間もかかるので安易に自己判断はしないようにし、専門の医師の指示を仰ぐのが良いでしょう。以下はあくまでも参考程度にとどめてください。

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    慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)は原因不明の慢性的な疲労の病因・病態の解明を目的に1988年にCDCにより提唱された比較的新しい疾患概念であり、これまで確定診断に結びつくような検査異常(バイオマーカー)は同定されていない。したがって、その診断には臨床症状を中心とした診断法が用いられており、日本でのCFS診断には厚生労働省(旧厚生省)の研究班がHolmes診断基準1)を基に1991年に作成した厚生省CFS診断基準2)(表1)が用いられている。

    この基準によると、CFSと診断されるには、大クライテリアに記載されている、①生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返すことと、②慢性疲労の原因と考えられるような疾病を除外すること、の2項目を満たすことが必須であり、小クライテリアとして症状クライテリアの8項目を満たすか、症状クライテリア6項目と身体所見クライテリア2項目を満たす必要がある(表1)。

    また、大クライテリアで意味する“強い疲労”の程度をより明確にするために、表2に示すperformance status(PS)が定められており、CFSと診断されるためにはPS 3“全身倦怠感の為、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である”以上の疲労程度であることが求められている。

    表1:厚生省CFS診断基準試案(平成7年3月、一部改変)

    A.大クライテリア(大基準)
    1生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)。
    2病歴、身体所見.検査所見で表2に挙げられている疾患を除外する。

    B.小クライテリア(小基準)
    ア)症状クライテリア(症状基準)
    (以下の症状が6カ月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)

    1微熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒

    2咽頭痛

    3頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張

    4原因不明の筋力低下

    5筋肉痛ないし不快感

    6軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感

    7頭痛

    8腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛

    9精神神経症状(いずれか1つ以上)羞明、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、錯乱、思考力低下、集中力低下、抑うつ

    10睡眠障害(過眠、不眠)

    11症時、主たる症状が数時間から数日の間に発現

    イ)身体所見クライテリア(身体所見基準)(2回以上、医師が確認)
    1微熱

    2. 非浸出性咽頭炎

    3リンパ節の腫大(頚部、腋窩リンパ節)


    ◎大基準2項目に加えて、小基準の「症状基準8項目」以上か、「症状基準6項目+身体基準2項目」以上を満たすと「CFS」と診断する。
    ◎大基準2項目に該当するが、小基準で診断基準を満たさない例は「CFS(疑診)」とする。
    ◎上記基準で診断されたCFS(疑診は除く)のうち、感染症が確診された後、それに続発して症状が発現した例は「感染後CFS」と呼ぶ。

    表2  PS(performance status)による疲労・倦怠の程度

    (旧厚生省 慢性疲労症候群診断基準(試案)より抜粋)3)


    0:倦怠感がなく平常の生活ができ、制限を受けることなく行動できる。

    1:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 倦怠感を感ずるときがしばしばある。

    2:通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、 全身倦怠の為、しばしば休息が必要である。

    3:全身倦怠の為、月に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。

    4:全身倦怠の為、週に数日は社会生活や労働ができず、 自宅にて休息が必要である。

    5:通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、 週のうち数日は自宅にて休息が必要である。

    6:調子のよい日は軽作業は可能であるが、 週のうち50%以上は自宅にて休息している。

    7:身の回りのことはでき、介助も不要ではあるが、 通常の社会生活や軽作業は不可能である。

    8:身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、 日中の50%以上は就床している。

    9:身の回りのことはできず、常に介助がいり、 終日就床を必要としている。

    (以上、引用)

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    鍼灸治療を行うメリット

    慢性疲労症候群に対する鍼治療の有効性の研究はたくさんあります。症状改善に役立つことが示唆されています。症状改善という意味では鍼治療がお手伝いできることも多いと思います。また呼吸リハ、ヨガなどと組み合わせて行うことでの症状改善も期待できます。ケースバイケースではありますがまずはご相談いただければ詳しくお話いたします。

    鍼灸安全対策ガイドライン

    医療には医療過誤の防止や安全管理の目的などを学ぶ「医療安全」という学問があります。厚生労働省も以下のようなメッセージを出しています。

    医療安全の確保は医療政策における最も重要な課題の一つです。患者の安全を最優先に考え、その実現を目指す態度や考え方としての「安全文化」を醸成し、これを医療現場に定着させていくことが求められています。医療安全を確保するためには、行政、医療機関、医療関係団体、教育機関や企業、さらに、医療に関係する全ての方が各々の役割に応じて医療安全対策に向けて積極的に取り組むことが必要です。

    鍼灸にも全日本鍼灸学会が中心となり編集された「鍼灸安全対策ガイドライン」というものが存在します。大切なことが書いてあるので抜粋し紹介していきます。大きく4項目に分かれて書かれています。とても大事なことですので弊所ではこれらに準拠し施術を行っています。何かご不明な点があればご質問ください。

    1,安全対策の一般要求事項と注意事項

    鍼灸師・あんまマッサージ指圧師は「あはき法」という関係法規があります。これらの法律を遵守し行政の指導には速やかに従うこと、リスクマネジメント、カルテ記載と保護の重要性、禁忌施術や部位、出張施術時の注意事項などについて書かれています。

    2,感染防止対策

    このご時世、特に気をつけなくてはならない感染症対策について書かれています。手指の衛生、防護服、廃棄物処理、施術所の衛生管理、鍼を刺すときの衛生注意事項などについて書かれています。

    3,有害事象防止対策

    感染症・臓器や神経の損傷・皮膚疾患など有害事象や副反応(副作用)の対策について書かれています。また鍼が折れてしまう事故の対策などについても書かれています。

    4,関連療法の安全対策

    鍼灸治療において良く行われる療法(鍼通電、灸頭鍼、刺絡など)の注意点について書かれています。