機能性ディスペプシアと鍼灸治療について。
機能性ディスペプシアという病気をご存知でしょうか??以前は「神経性胃炎、慢性胃炎、ストレス性胃炎」などと呼ばれていました。潰瘍、がんなどの器質的な異常がないのに胃のもたれや不快感、食後の胃の痛みや膨満感など機能的な異常が続く状態を指します。
症状だけでは機能性ディスペプシアと診断を下すことはできません。他の病気でないか?腫瘍などはないか?炎症はないか?など超音波検査・内視鏡検査等を行い判断します。これは医師により行われ、確定するまでに時間を要することもあります。RomeⅢ分類では6か月以上前から症状があり最近3か月に症状(胃もたれ、早期膨満感、心窩部痛、心窩部灼熱感)のいずれかがあり検査で原因となる疾患を確認できない場合に診断されるとあります。お薬はボノプラザンフマル酸塩錠(タケキャブ)等が出されることが多いです。しかしながら、お薬だけではなかなか効果を感じずに鍼灸や漢方治療に期待する方も一定数いらっしゃいます。
なぜ、病院のお薬だけでは改善しないか?
病院の治療やお薬が役に立たないという意味ではありません。症状改善に効果があるのは間違いないです。しかしこの病気は機能異常の問題であり、体質や生活環境など様々な原因があり結果として起こるものです。そのため薬で症状が一時的に良くなってもまた元に戻る等、なかなか改善しないのです。
近年では、いわゆるコロナ後遺症の一環として機能性ディスペプシアのような症状を訴える方もいらっしゃいます。感染症や、ストレス(PTSD)が関係するという説もあります。(参考1)またエビデンスははっきりしませんが双極性障害、パニック障害、うつ等の既往歴がある方もいらっしゃいます。
以下によくあるケースを上げます。
・そもそも発生原因や症状に個人差があるため。
・緊張してコリが強いため。
→個人的見解ですが、胃の不快感を訴える方で背中にコリが強く出ている人は多いと感じます。
・やせ形で冷え性など体質に問題あるケースがあるため。
・人間関係や生活習慣にストレスを感じているため。(または過去に感じていた。)ほか
機能性ディスペプシアと東洋医学
現代医学ではなかなか改善しづらい病気の一つとも言えますが東洋医学的には比較的改善することも多いです。
東洋医学的には(ケースバイケースですが)「肝」が強くなり「脾」(消化器)に悪影響を与えている状態だと考えます。バランスを整えることで改善が見込めます。漢方薬は病院でも処方され、六君子湯(りっくんしとう)は日本消化器病学会のガイドラインにも記載されています。(参考2)鍼灸治療では背部にある「胃の六つ灸」と呼ばれるポイントが昔から消化器改善のツボとして有名です。(参考3)
私は鍼灸治療を行うと効果は出せるのではないかと考えます。背中のコリや肋骨を緩めたり足先を温めたり、肝鬱をとると改善することも多いです。またタッチセラピーであるため緊張をとり自律神経やホルモンのバランスを整えることも効果があります。お薬を使わない治療法であるため、薬が増えないことも魅力の一つでしょう。ただしガイドラインでは鍼灸治療が機能性ディスペプシアに有効だというはっきりとしたエビデンスはまだないことが記載されています。そのため弊所では病院(内科、漢方内科など)の補助療法(併用)として鍼灸を行うことを推奨しています。
改善実績
先日は喜びの声もいただきました。詳しくはこちら。
機能性ディスペプシアについての症例を学会発表した実績もございます。お困りの方は一度ご相談ください。お話をしっかり伺ったうえで鍼灸の利用方法などしっかりご説明させていただきます。
参考