慢性骨盤痛症候群と鍼灸治療(骨盤内疼痛症候群、慢性前立腺炎、前立腺肥大の不快感ほか)

慢性骨盤痛症候群と鍼灸治療(骨盤内疼痛症候群、慢性前立腺炎、前立腺肥大の不快感ほか)

男性女性問わず排尿に関わる症状で、小便が出にくい・残尿感がある・排尿時痛がある・頻尿・排尿後おしっこが漏れる、などの症状を訴えるケースがあります。慢性骨盤痛症候群(CPPS)は女性に多く英国では1000人に38人が罹患(りかん)しているとのデータがあります。下腹部または骨盤部の間欠的または持続的な痛みで、少なくとも6か月間続き、月経や成功時のみに出現するのではなく、妊娠とも関連せず機械的障害をもたらしたり日常生活が制限されたりするもの、と定義されています。1)これらの症状を訴える人は子宮内膜症、腰痛や腰痛や坐骨神経痛などの症状を伴っていたり、ほかにも自律神経症状(めまい、耳鳴り、のどの違和感、気分の落ち込みなど)を抱えていたりすることもあります。

診断までに時間がかかる病気です。病院での尿検査では異常がなく、採血をしても炎症反応はみられず、画像検査でもはっきりとした原因がわからず、特効薬もなく、有効な手術もなく、ブロック注射や投薬治療でも効果が不十分で症状のコントロールができない場合も多く、困って鍼灸院を受診するというケースがあります。弊所ではできる限り病院の医師と協力しながら症状を改善させていくお手伝いができます。慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(CP/CPPS)を訴える患者さんはほとんどが泌尿器科で診断を受けて鍼灸院に来所されますがもしも病院にいってない場合は前立腺や膀胱の病気を除外するためにもまずは病院に行くことを勧めます。漢方治療が有効な場合があるためご希望であれば漢方治療に詳しいクリニックの医師を紹介することも可能です。

鍼灸治療も有効という報告があります。高いエビデンスがある訳ではないのですが腰部周辺、骨盤周辺の緊張を緩和させると症状が緩和するという実感があります。以下に弊所に来所されたこの疾患を疑った方の事例を紹介します。(医師による診断名は未確定だったため詳細は不明)

お名前 

田中真紀子さま(仮名)

年齢

38歳(施術当時)

主な訴え 

左の臀部から腰が違和感、頸のつらさ、耳鳴り、残尿感ほか

施術開始時期

平成28年6月5日

改善時期

平成28年7月30日

(週に1度程度。全10回の施術。)

経過・状況など

平成28年5月末より症状が気になり始める。泌尿器科で診察を受けたが特に異常はなしの診断。念のため内視鏡の検査もしようか迷っている。

(1)思い当たる原因

平成27年11月1日ころ帯状疱疹、その後腰痛や股関節の痛みが気になり始める。子供が2人。上が中学2年生、下が小学4年生。子育てで多忙、ストレスが多い。

(2)弊所での施術・見解

頚周辺、左股関節周辺の緊張が気になる。初回の施術時によくお話を伺ったところ漢方治療にも興味があるため弊所から紹介。(診断までに時間がかかる病気の可能性もあるため、泌尿器科の医師とも良好な関係を築き継続して通院するようアドバイス。)漢方内科の医師から漢方薬処方。足のむくみ感や滞りを指摘された。頸部や腰部、股関節周辺の緊張を緩める目的で施術を行う。特に仙骨周辺にパルス(低周波)鍼治療を行った。

(3)経過

週1回5回(平成28年6月24日)の施術で軽快に向かう。7月30日に10回目の施術を行ったところ症状が消失したため施術を終了。

(4)総括

精神的なストレスや体質の問題もあり痛みや症状に過敏になっていた可能性もあるが詳細は不明。鍼灸施術を行うことで緊張が緩和されて、結果的に改善に向かったか。その後の経過も注意深く観察する。

 

参考文献

1)Christpher Burton 不定愁訴のABC 日経BP社 2014