カテゴリー: お知らせ・ブログ・思うこと

    田無北口鍼灸院の連絡事項やお休みのお知らせニュースのまとめ制度について思うこと・・・などまとめていきます。問い合わせがある場合は院に直接連絡くださいますようお願いいたします。

台風や急に寒くなった時期に頭痛が悪化してしまうという方への対策方法、頭痛の分類(偏頭痛・緊張型頭痛等)

台風の時期や急に寒くなった時期になると「頭痛がひどい」、「頭痛の改善をしてほしい」、「頭痛や肩コリがつらい」というご相談案件が増えます。傾向としては女性の方が多いといわれますが男性も少なくはないという印象です。結論から言いますと鍼灸の施術を受けますと楽になりますが頭痛症状は緊急性を要するものもあるため注意が必要です。

(1)なぜ台風の時期に頭痛がひどくなるのか?

とくに気圧の変化の影響を受けやすいという方が圧倒的に多く台風などが発生する時期に頭痛や関節痛など神経痛がひどくなるようです。敏感な方や症状が重い方になりますと台風が近づいてきたことがわかるという方までいらっしゃいます。台風などの気圧だけでなく温度や湿度などが原因でも体調悪化が起こるといわれていますがこれらは俗に「気象病」と呼ばれます。なぜ天気が体調に影響を与えるのでしょうか?原因はまだよくわかっていませんが脳の混乱が自律神経の変化を引き起こすからという説を提唱・研究している医師もいます。簡単に言いますとこんなメカニズムです。

鼓膜の奥にある「内耳」は気圧の変化を感じるセンサーがある。→その情報が脳に伝えられ交感神経や副交感神経(自律神経)の調整が行われる。→乗り物酔いしやすいなど敏感な人は自律神経のバランスが良くないため気象病にも悪影響を受けやすい傾向がある。*参考*「低気圧で体調不良を起こしやすい人の特徴」

あくまでも仮説ですがたしかにそのような傾向はあると思います。

(2)気象病の対策は??鍼灸もよいです

天気をある程度予測してストレスをためないようにする、という方法があります。台風が近づきそうな時期は無理をしない。飲みに行かない。夜更かしをしない。という対策方法です。自律神経はストレスや睡眠不足などで悪影響を受けますので最小限に減らすにはそのような対策も有効かもしれません。また日頃から鍼灸などの施術を受け体調を整えておくと自律神経の安定作用があるため悪化しずらくなったり気象病の影響を受けずらくなるでしょう。

(3)頭痛の分類と注意点に関して

偏頭痛のような脈を打つズキズキが出ている場合痛い部分を揉むなどしてはかえって症状が悪化することも多いです。注意が必要です。偏頭痛というのは血流が促進されると頭痛が悪化します。緊張型頭痛と呼ばれる筋緊張が原因で起こる締め付けられるような頭痛の場合は温めたり筋肉をほぐすと頭痛が緩和されます。・・・ただ緊張型と偏頭痛はどちらか片方が出るものではなく混在していることも多いです。温めたいけど冷やしたいという矛盾した状態になることも多いのです。経験のある鍼灸師ならばしっかり対応できます。ツボなどをうまく使い腕や足から血流を促進させたりすればこれらの矛盾を解消しながら体調も改善させることができます。また頭痛症状は上記2つのパターンだけでなく脳の問題などから生じる場合もありますので注意が必要です。ひどい吐き気を伴ったり発熱を伴う場合などはまずは医師の診断を受ける方が良いでしょう。*病院へ行くべきタイミングなどもお気軽に田無北口鍼灸院にご相談ください。

発達障害がある人・発達に課題がある人への鍼灸治療に関して

鍼灸治療が発達障害そのものを緩和するというエビデンスはありませんがストレスを和らげ、緊張を緩和する可能性があるため症状改善のお役に立てます。以下に情報をまとめておきますが発達障害をお持ち、またはその疑いがあり体調不良でお困りの方は一度お気軽に相談ください。専門的に診断してくれる医療機関を紹介したりしながら併用して鍼灸施術を受けることもできます。*似たような事例では、子供の起立性調整障害疑いを鍼灸施術を行いながら専門病院におつなぎした事例があります。

発達障害の定義とは?

発達障害者支援法において、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。(厚生労働省

脳の機能的な問題が関係して生じる疾患であり、日常生活、社会生活、学業、職業上における機能障害が発達期にみられる状態をいいます。 最新のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版」)では、神経発達障害/神経発達症とも表記されます。(eヘルスネット・厚生労働省

DSM-5に基づいて診断基準や分類がなされます。

発達障害と「発達に課題がある」という状態の違いをとは?

「発達障害でなく発達に課題がある」という表現には、いくつかのニュアンスが含まれています。以下、それぞれの状態に関連する特徴や違いを説明します。

(1)発達障害

・明確な症状と診断:発達障害は、特定の症状や特徴が明確に現れ、これに基づいて診断が行われます。
・DSM-5(精神障害の診断および統計マニュアル)などの基準に適合:発達障害の診断は、一般的に国際的に受け入れられた診断基準に基づいています。
・症状が生涯にわたり持続:発達障害は、生涯にわたって続く可能性が高い慢性の状態であることが多いです。

(2)発達に課題がある

・特定の状況や期間に関連:発達に課題がある場合、それが特定の状況や期間に関連している可能性があります。例えば、一時的な学習の課題やストレスによる影響が考えられます。
・明確な症状がない場合も:発達に課題がある場合、明確な症状がないか、症状が一時的であることがあります。
・他の要因による可能性:発達に課題がある場合、環境の変化、一時的なストレス、他の健康状態などが原因となっている可能性があります。

簡潔に言えば、発達障害は比較的に持続的で明確な症状を伴う一般的な診断であるのに対して、発達に課題がある場合は一時的で特定の状況や期間に関連している可能性があります。ただし、具体的な状態や症状は個人によって異なり、専門家の評価が必要です。

発達障害の分類は?

eヘルスネット・厚生労働省の解説ページを参考にDSM-5の分類を紹介します。

発達障害は、いくつかの主要なカテゴリーに分類されます。以下に、主な発達障害の分類を示します。なお、これらのカテゴリーはあくまで広い範囲であり、個々の人が抱える症状や特徴は非常に多岐にわたります。

・注意欠陥多動性障害 (ADHD):短縮してADHDとも呼ばれます。注意の欠如、過動、衝動性が特徴で、学業や社会的な機能に影響を与えることがあります。

・自閉スペクトラム障害 (ASD):自閉症スペクトラム障害は、コミュニケーションの障害や社会的な相互作用の難しさ、独特な興味や行動の繰り返しといった特徴を持つ総称です。高機能自閉症から、深刻な発達障害まで幅広い症状があります。

・学習障害:読み書きや計算などの学習に関連する領域で困難を経験する総称です。ディスレクシア(読字障害)、ディスカルキュリア(計算障害)などが含まれます。

・知的障害:一般的な知的機能の発達が遅れるか、制限される状態を指します。IQが一定の基準以下であることが一般的な特徴です。

・発話・言語障害:発音、語彙、文法などの言語に関する困難が含まれます。言語発達障害や発声障害などが該当します。

これらの障害は、個々の人の特性や症状によって様々な程度で現れ、また同時に複数の発達障害を抱えることもあります。診断やサポートのためには、適切な専門家や医療プロフェッショナルに相談することが重要です。

大人になるまで発達障害が放置されてしまうケースがあるのはなぜ?

発達障害は子供だけというイメージがあるかもしれませんが大人もあり得ますし、また大人になるまで放置されるケースがあります。その理由は複雑であり、さまざまな要因が関与しています。以下はその主な理由です。

・軽度であるため気付かれにくい:発達障害が軽度である場合、症状が他の一般的な行動の範囲内に収まることがあります。そのため、問題があると気付かれにくいことがあります。

・社会的な期待の変化:子供時代から大人にかけて、発達障害の特徴は変化することがあります。また、社会の期待も変わり、大人になると共に異なる対応が求められることがあるため、発達障害が見過ごされることがあります。

・マスキングやコンピェンセーション: 発達障害を持つ人は、自身の困難に対処するために異なる戦略を学びます。これにより、一時的には症状が緩和されたり、他者に隠されることがあります。

・診断の難しさ: 発達障害の診断は複雑であり、専門的な知識と時間を要します。一般的な診断は子供時代に行われやすいため、大人になると診断が難しくなることがあります。

・周囲の理解の不足:発達障害についての理解が不足している場合、症状が異常であることに気付かないか、適切なサポートが得られないことがあります。

・自覚の不足:発達障害を持つ人自身が、自分の特徴が他と異なることに気付かない場合があります。また、気付いてもそれを受け入れるのが難しい場合もあります。

これらの要因が複合的に絡み合って、発達障害が大人になるまで放置されることがあります。早期の診断と適切なサポートが重要であり、理解ある環境でのサポートが提供されることで、大人になってからの生活の質が向上することが期待されます。

発達障害の人がストレスに弱いのはなぜですか?またできるセルフケアや対策はありますか?

発達障害を持つ人がストレスに弱いと感じる理由は、いくつかの特性や課題が絡み合っている可能性があります。一般的な特徴として以下の点が挙げられます。

・感覚過敏:発達障害を持つ人々は、外部の刺激(音、光、触覚など)に対して過敏であることがあります。過度な刺激がストレスを引き起こす可能性が高まります。

・社会的な適応困難:コミュニケーションや社会的な相互作用において適応が難しいことがあり、これが社会的なストレスや孤立感を引き起こすことがあります。

・予測困難性:変化への適応が難しいことがあり、予測可能でない出来事がストレスとなることがあります。

・コミュニケーションの困難:意思疎通が難しい場合、自分の感情やニーズを適切に伝えることが難しく、これがストレスの原因となります。

これらの理由から、発達障害を持つ人がストレスに敏感であると感じることがあります。しかし、適切なセルフケアや対策を取ることで、ストレスへの対処が改善される可能性があります。以下はその一例です。

・ストレス管理技術の学習: リラクセーション法、深呼吸、瞑想などのストレス管理技術を学ぶことで、ストレスに対処する能力が向上します。

・コミュニケーションスキルの向上:コミュニケーションスキルのトレーニングや、感情やニーズを適切に伝える方法を学ぶことが、ストレスの軽減に寄与します。

・予測可能な環境の構築:予測可能な環境を作り出すことで、変化に対処しやすくなり、ストレスを軽減できます。

・適切なサポートの確保:必要なサポートや理解ある環境を確保することが重要です。家族や友人、教育機関、職場などからのサポートが役立ちます。

個々のケースによって適したアプローチが異なりますので、専門家と相談し、個別のサポートプランを立てることが重要です。

鍼灸治療は発達障害の症状を緩和しますか?

以下は、鍼灸治療がストレスに対してどのように影響を与えるかに関する一般的なポイントです。

・リラックス効果:鍼灸治療は、鍼や灸を用いて特定の経絡やツボに刺激を与えることで、筋肉の緊張を緩和し、リラックス効果をもたらすことがあります。これにより、身体的なストレスや緊張が和らぐ可能性があります。

・自律神経の調整:鍼灸治療は、自律神経系を調整する助けとなることが報告されています。具体的には、交感神経(ストレス応答を活発化する)と副交感神経(リラックスを促進する)のバランスを整える働きが期待されます。

・ホルモンの調整:鍼灸治療がストレスホルモンや神経伝達物質のバランスを調整する可能性があります。これにより、ストレス応答が緩和されることが期待されます。

・睡眠の改善:ストレスが原因で睡眠障害が生じることがありますが、鍼灸治療が睡眠の質を向上させ、ストレスの軽減に寄与するとされることがあります。

YouTube動画:頭痛の応急処置1分で解説。まずは目の周りを冷やそう。

YOUTUBE原稿など含めこちらに掲載しておきます。動画は↑よりご覧ください。

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#頭痛 #頭痛改善  #片頭痛

<原稿>

皆様こんにちは。田無北口鍼灸院の白石です。動画をご視聴いただきありがとうございます。本日は「頭痛がぱっと消える!?セルフケア方法」についてお話させてもらいます。少し煽り気味のタイトルですいません。

まずは注意点からお話させていただきます。頭痛と一口に言っても色々な原因があって症状が出ます。セルフケアで対応できるのは基本的に緊張型頭痛や片頭痛といわれるような一次性頭痛です。脳の病気などが原因で頭痛が出ている場合や痛みがひどい場合などはセルフケアでは対処できません。

この動画をクリックした方はすでに病院でご自身の頭痛がどのタイプか?診断を受けていると思いますが、まずは自己判断ではなく病院で診察を受けることをお勧めします。

■頭痛の分類

はじめに頭痛の分類についてお話します。頭痛は一次性頭痛、二次性頭痛に分けられます。(日本頭痛学会より)二次性頭痛は病気や

国際頭痛分類第3版の大分類(2018年)

一次性頭痛
1.片頭痛
2.緊張型頭痛
3.三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)
4.その他の一次性頭痛疾患

二次性頭痛
5.頭頸部外傷・傷害による頭痛(例:むち打ちによる持続性頭痛)
6.頭頸部血管障害による頭痛(例:くも膜下出血)
7.非血管性頭蓋内疾患による頭痛(例:脳腫瘍)
8.物質またはその離脱による頭痛(例:薬剤の使用過多による頭痛)
9.感染症による頭痛(例:髄膜炎)
10.ホメオスターシス障害による頭痛(例:高山性頭痛)
11.頭蓋骨、頸、眼、耳、鼻、副鼻腔、歯、口あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の障害による頭痛または顔面痛(例:急性副鼻腔炎)
12.精神疾患による頭痛

■頭痛のセルフケアは冷やす→温める

セルフケアの方法と頭痛の特徴をお伝えします。偏頭痛の場合は冷やす。緊張型頭痛の場合は温めると覚えてください。片頭痛と呼ばれる頭痛は

目の周辺を冷やす。

頭痛(片頭痛・緊張型混合タイプ)の改善に関して。田無北口鍼灸院の施術・30代女性の改善例。

症状と改善例についてまとめていきます。・・・全員が同じように改善するわけではないと思いますが参考になれば幸いです。*プライバシーに配慮するため個人情報等、多少脚色してあります。以下は頭痛の症状が改善した例です。頭痛に悩む方は多いです。男性よりも女性が多い傾向にありますが弊所では相談に訪れる方の男女比は半々くらいの割合です。

お名前 

中山恵子さま(仮名)

年齢

31歳(施術当時)

主な訴え 

首の疼痛・肩こり・特に左。肩甲骨の痛み。締め付けられるような頭痛。脈を打つ頭痛もある(ご本人談)

施術開始時期

平成27年06月25日

改善時期

平成27年07月31日(週に1度程度。全6回の施術。)

経過・状況など

デスクワーク。座っている時間が長い。細かいマウス作業も多い。台風の時や雨の日など天候で体調が悪化することがある。元々肩こりなど感じていた。(ご本人談)

(1)思い当たる原因

特になし。(ご本人談)

(2)弊所での施術・見解

まずは状態把握。肩甲骨周辺が硬くなっている。痛みもあり。そこを改善するために鍼やお灸、関節運動などを行う。漢方内科も併用することを提案した。

(3)経過・施術など

第一回 平成27年6月25日

猫背気味。肩こり症状もあり。 鍼灸、吸玉などで緊張を和らげる。体型のバランスも調整する。

第二回 平成27年7月01日

前回に引き続き緊張を取るための施術。関節運動も行った。偏頭痛症状に対してはアイシングも行う。

第三回 平成27年07月09日

改善傾向。リラックスできている。

第四回 平成27年7月15日

改善傾向。引き続き施術を受けたい。

第五・六回 平成27年7月25.31日

大分良くなっている。自宅でも肩甲骨を動かすよう指導。改善してきたので月に1回のメンテナンス施術に切り替える。

(4)総括

頭痛症状は緊張型・片頭痛型と混在している方が多いです。どちらか片方にはっきりと出るということはあまりなく緊張型であり偏頭痛も持っているのです。偏頭痛は冷やすと楽になり緊張型頭痛は温めると楽になるので矛盾した状態といえます。鍼を使いながら緊張そのものを和らげていくと少しづつ痛みを緩和できます。場合によってはアイシングも行いますし温めることも行います。矛盾した状態の身体のバランスを取るための施術を行います。

(5)ご本人のコメント

首肩のコリ、頭痛がひどく身体が痛くて常に元気がない状態だった。休日はどこにも行きたくない。1度の施術でもかなり軽くなります。身体がゆるむのも感じました。調子が上がったり落ちたりすることもありますが動けなくなったり辛すぎて落ち込むことが一切なくなりました。何か体調の不調が起きた時にすぐに相談でき駆け込める場所があるのも心強いです。

 

参考までに以下動画もどうぞ。病院も併用したほうがいい場合などは弊所からクリニックをご紹介したりもできます。

田無北口鍼灸院の回数券やプリペイドカード販売、通院に対するポリシー。

田無北口鍼灸院では体調をよくしたい方のために回数券やプリペイドカードを販売していますが無理に販売するようなことはしていません。他所の治療院で「回数券を購入しないとよくならない」などといわれた方もいらっしゃるそうで弊所ではそのような誤解を招かないよう注意しながら販売しています。鍼灸治療は「今、我慢して沢山通院すれば必ず治る。」という性質のものではありません。ご自身に合っていると思った方が納得して通っていただくのが肝要です。無理をしては悪い反応(ノセボ)も出やすくなってしまいます。以下に注意点・ポイントなどをまとめておきます。

・初回購入はあまりお勧めしません。

初回は治療に対してテンションが高く冷静な判断ができない方もいらっしゃいます。そのため勢いで購入して後で後悔することがないように初回で回数券・プリペイドカード購入はあまりお勧めしません。

・説明や規約を紙でお渡しし納得してから購入いただいています。

初回に案内チラシなどをお渡しします。ご自宅でよくご覧いただき、わからないことはご質問いただいたうえで納得して通院してほしいためそのような形にしています。

・10回以上の回数券は用意していません。

あまりにも多い通院は前提にしていないためそのような形をとってます。

・回数券を買ったのに予約が取れないということがないように先の予約も優先的にとれるようにしています。

優先的に先の予約もお取りしております。ただしほかの方の予約がある場合に優先的にその枠をお譲りできるということではありません。ご了承ください。

 

以上になります。弊所を安心してご利用いただくためわからないことは何でもお気軽にご相談・ご質問ください。

交通事故に遭ってしまった方が苦しまれる、むち打ち症の関連症状「バレリュー症候群」について。

交通事故などで首に衝撃を受けてしまった際に長く症状が続いてしまうことがあります。「バレリュー症候群」という傷病がありますので心配な方などは医師等に相談されることをオススメします。

バレリュー症候群とは・・・?

1925年にフランスのバレ、1928年にバレの門下生のリューによって報告された症例で、発見者の名前からその病名が付いた。眼、耳、心臓、咽頭部の異常など、自律神経症状を主体とする 症状が「バレー・ルー(リュー)症候群」と呼ばれる。自律神経失調症と全く同じというわけではありません。しかしながら頚部の自律神経機能障害という意味で、理解していればいいかと思います。「後部頚交感神経症候群」というのは「頚部の疾患・外傷でありながら、頭部や顔面に頑固な自覚症状を訴える例があり、これらの症状が頚部の交感神経と密接な関係を持つ」と発表されたのが最初。その発生原因については定説が確立されていない。しかし何らかの原因により頚部の交感神経を過度に緊張した状態にさせ、交感神経の支配領域に症状をもたらす。

症状と診断について

自覚症状が中心となり、以下のものがあります。頭痛、頭重、めまい、耳鳴り、難聴、眼精疲労、視力障害、流涙、首の違和感、摩擦音、昜疲労性、血圧低 など。バレリュー症候群の特徴的症状は、受傷直後ではなく2~4週間ほど経過してから現れるのが普通と言われている。他方で、頚椎捻挫は3~6ヶ月で治癒すると言われるので、この期間を経過しても症状に改善が見られない場合、バレリュー症候群と診断が下されることもある。

男女の更年期障害と鍼灸治療ついて(男性:LOH症候群)

更年期障害(Menopause, climacteric)

性腺ホルモンの低下に関連した症状の総称で、主に女性の場合は卵巣機能の低下によるエストロゲン欠乏が原因です。男性の場合も性ホルモンの減少が関与することがあり、これはLOH症候群として知られていますが、一般的には女性の更年期障害がより注目されています。

■ 症状

器質的な原因に関係ない多様な症状が生活に支障をきたす程度に発症するものと定義され、日本では閉経前後の10年間を指すことが一般的です。この症状の原因は、加齢に伴う卵巣の内分泌機能低下によるエストロゲン濃度低下と、更年期における生活環境の変化との相互作用が考えられています。

「血管運動神経症状」「精神神経症状」および「その他の症状」に分類されます。例として、ホットフラッシュ、不安、抑うつ、腰痛、食欲不振、皮膚の変化、泌尿器症状などが挙げられます。これらの症状は個人によって異なり、自然に緩和することもあります。

■ 診断

Kupperman更年期指数や血液検査(FSH濃度、エストラジオール濃度)が使用されます。閉経は通常、無月経が12か月以上続いた場合に診断されます。

■ 治療

治療のアプローチには、ホルモン補充療法(HRT)が含まれます。HRTはエストロゲンの不足を補うために使用され、特に血管運動神経症状に有効です。しかし、精神症状には効果が限定的なこともあります。その他の治療法には、向精神薬、漢方薬、プラセンタ療法、心理療法が含まれます。治療方法は症状や患者の個別のニーズに応じて選択されます。

■ 注意点

うつ病や甲状腺機能障害、精神疾患などの他の疾患との鑑別診断が必要であり、これらの病状は更年期障害と類似の症状を引き起こすことがあります。したがって、適切な診断と治療のためには症状の詳細な評価が不可欠です。

LOH症候群(Late-onset hypogonadism)

男性ホルモンであるテストステロンの部分的欠乏によって引き起こされる症候群です。この症候群は加齢男性性腺機能低下症候群(PADAM)とも呼ばれ、一般的には男性の更年期障害とも称されます。以下はLOH症候群に関する情報の要点です。

■症状

LOH症候群の発症時期は一定しないが、概ね40代後半から50代前半以降にテストステロンの低下により発症します。主な症状には性欲の低下、勃起障害、精神的な変化、疲労感、抑うつ、体力の低下、内臓脂肪の増加、骨密度の低下などが含まれます。 LOH症候群は生殖能力の低下だけでなく、精神的な症状や全身的な変化も伴います。また、2型糖尿病、メタボリック症候群、心血管疾患、内臓脂肪の増加、骨粗鬆症などの健康リスクが増加することが知られています。

■ 診断

LOH症候群の診断は、性腺機能の評価から始まります。テストステロンの血中濃度やさまざまな症状を考慮して行われます。診断には「Aging Males’ Symptoms(AMS)スコア」が使用され、一定のスコアで症状の程度を評価します。

■ 治療

LOH症候群の治療法として、アンドロゲン補充療法(ART)が行われます。これはテストステロンの補充療法で、注射、軟膏、あるいはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)などが使用されます。治療には患者の年齢や健康状態に応じて適切な選択肢が提供されます。

■ 注意点

アンドロゲン補充療法は適切な患者にのみ推奨されており、前立腺癌患者や特定の健康問題を抱える患者には推奨されません。治療により勃起不全が改善されることがあり、精神的な症状にも対処されることがあります。LOH症候群は、男性のテストステロンの低下による症状と健康リスクが関連しており、適切な治療法によって改善できる可能性があります。しかし、治療の選択と管理は医師によって行われるべきであり、患者は専門家の指導を受けるべきです。

まとめ・更年期障害を疑ったら・・・?鍼灸は有効。

男女ともに更年期障害を疑ったらまずは専門の医師の診断を仰ぐとよいでしょう。血液検査などで更年期障害かどうかが分かります。更年期障害に似ていても違う病気はたくさんあります。原因を確認することが肝要です。そのうえで「今は特に投薬の必要性がない。」と医師にいわれたが症状が改善しない方、更年期障害の症状緩和・補助療法として鍼灸や漢方をお勧めします。どのように治療を勧めればよいのか?についてもお気軽にご相談ください。

外反母趾と鍼灸治療について


↑YouTube動画も用意しています。気になる方は是非ご覧ください。

■ 重要。外反母趾の変形は基本的には保存療法では治らないが・・・

大事なことなので初めにお伝えします。鍼灸をはじめとする物理療法、保存療法で外反母趾そのものの変形が改善するわけではありません。言い換えれば鍼灸院や整体院・整骨院などで外反母趾の変形が治ることはありません。しかし症状をなだらかにしたり、痛みを和らげ出なくすることは可能です。まずはそこをご理解されるよいでしょう。ご自身の状態が気になる方はまずは病院を受診するとよいでしょう。専門的に見てくれる病院もあります。しかし病院に行ったけどあまり解決しない、手術が必要な段階ではない、装具を作るほどではない、セルフケアでどうにかしたい・・・という方もたくさんいらっしゃいます。そのような方が鍼灸などの施術対象になります。

また高い矯正器具などを買えば効果があるとも限りません。装具の購入や治療の進め方のコツについても詳しくお伝えします。これからどのように生活したらよいか?どのように治療を勧めればよいか?を含めてアドバイスさせていただきます。お気軽にご相談ください。

■ 外反母趾とは??

外反母趾(がいはんぼし、英: Hallux Valgus)は、足の指の一つである親指(第一趾)が他の指に向かって曲がり、足の付け根(第一趾の付け根の関節)が外側に膨らんでしまう状態を指します。具体的には、親指が足の内側に向かって倒れ、他の指と重なり、足の外側に骨が突出してしまうことが特徴です。

■ 外反母趾があるとどんな問題が起こるか?

外反母趾は以下のような症状を引き起こすことがあります。

1 足の痛み:足の親指の付け根や関節に痛みが生じることがあります。特に靴を履いて歩く際に痛みを感じることが多いです。

2 炎症と腫れ: 親指の付け根周辺に炎症や腫れが生じることがあります。

3 靴の選択の難しさ: 外反母趾の進行に伴い、通常の靴が合わなくなり、特につま先が狭いハイヒールの靴は痛みを増加させることがあります。

4 歩行の不自由:進行した外反母趾は足の形を変え、歩行に支障をきたすことがあります。

■ なぜ外反母趾が起こるか?とその対策。

外反母趾の原因は多くの要因に関連しており、ケガのように一つに絞ることは困難です。遺伝的要因、適切でない靴(ハイヒールなど)の長期間使用、足の形態の異常(アーチがないなど)、関節の炎症、加齢による筋力の低下などが影響します。手術対象でない場合には保存療法や物理療法が効果的で症状を管理できます。

■ 外反母趾の治療法は?

重症の外反母趾には手術が必要な場合があります。手術の種類には、親指の関節を修復する手術や骨を修正する手術などがあり術後は充分なリハビリテーションが必要です。

ですがほとんどの場合で、保存療法が選択されます。外反母趾の治療には個人の症状や状態に合わせたアプローチが必要なため早期に専門家のアドバイスを受け、適切な治療方法を選択しましょう。自己判断や自己治療せずまずは専門家の指導を受けることが大切です。治療法を以下にまとめます。

1 保存療法:以下のような方法が考えられます。

適切な靴選び→幅広でつま先が広い靴を選びましょう。ハイヒールや細いつま先の靴を避けることが大切です。

専用の足底矯正インソール→使用することで、足のアーチをサポートし、痛みを緩和できます。

ナイトスプリント→夜間に親指を正しい位置に保つための装具を使用することで、症状を改善できます。

ソルボの商品を一例としてあげます。装具についてもご相談ください。場合によっては専門家をご紹介します。

2 物理療法:物理療法(低周波、鍼灸、マッサージ、関節運動療法等)や足のストレッチを行うことで、関節の可動域を改善し、筋力を増強します。セラピストの指導を受けることが役立ちます。

3 薬物療法:炎症や痛みを軽減するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)等を処方されることがあります。痛みを緩和する注射もこれに含まれます。

4 手術:上記のような治療をしても改善されない場合に手術が検討されます。(以下詳細)

■ 手術が必要な場合はどんな時?

手術は最終的な選択肢であるためリスクとベネフィットをよく考慮しながら医師とよく話あい手術を選択するかどうか決めることになります。ほとんどの場合で保存療法(手術をしない事)が選択されますが以下のような状況では手術が検討されます。

1 強い痛み・機能障害がある:外反母趾による激しい足の痛みが継続的で、痛みが日常生活に支障をきたしている場合。歩行や運動が制限され、生活の質が低下している場合。

2 進行性の変形を伴う:外反母趾が進行し、親指の付け根や関節の変形が進行している場合。足の形が大きく変わり、外反母趾がますます顕著になっている場合。

3 関節の損傷がある:外反母趾によって足の関節に損傷が生じ、それが関節症や炎症を引き起こしている場合。関節の動きが制限されている場合。

4 保存療法の効果が限定的である:保存療法(靴の選択、物理療法、オルソティクス、薬物療法など)が効果が限定的で、症状が改善しない場合。痛みや変形が進行しているにもかかわらず、保存療法が効果的でない場合。

■ まとめ

外反母趾による痛みはまずは整形外科などを受診し、専門の医師から診断を受けるとよいでしょう。装具が保険適用(療養費)の対象になる場合があります。しかし、ほとんどが手術を選択する状態ではなく、予防をしたり、痛みのコントロールをする必要が出てきますのでその場合に鍼灸治療が大いに役に立ちます。

また病院であまり解決しなかった状態の方からの相談も多いです。まずはお話ください。

「ストレートネックが原因ですか?」というご質問に対して。と、その対策。

ここ最近、弊所のクライアントさんから「整形外科でストレートネックだと指摘された。首や肩が痛い、自律神経の不調などはそれが原因ですか?」と質問されることが多いです。結論から言いますと答えは「よくわからない。ただストレートネックは不調の原因になりうる。」とお答えすることが多いです。ストレートネックについてまとめていきます。

ストレートネックとは何か?

まずは定義を探すことが重要です。日本整形外科学会のページを検索してもストレートネックという言葉は見つかりませんでした。アメリカ医師会の権威ある雑誌JAMA(ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション)の論文を参照します。(参考1)そこでは以下のように表現されていました。

生理的な頸部の前彎曲線の喪失による、異常な脊椎アライメントに関連する一般的な変性疾患。

→病名というよりは概念・状態を表す言葉だと思うといいかもしれません。湾曲がまっすぐだとストレートネックだと呼ばれ、逆に湾曲がきつすぎるとスワンネックと呼ばれます。どちらもあまりよい状態ではないとされています。

なぜ整形外科医の先生は「ストレートネック」という言葉をよく使うのか?

整形外科学会のHPにはストレートネックという言葉は定義されていないのですが、整形外科医の先生はよくストレートネックだという説明をする印象があります。(統計ではなくあくまでも私の印象論です。)なぜそう説明するか?以下考察してみたいと思います。

・医師は「骨盤矯正」や「免疫力」という言葉は医学用語でないため使うのを嫌がる。しかしストレートネックは医学的な根拠がある。(そのためJAMAなどにも取り上げられる。)

・レントゲン所見から説明しやすい。「頸椎がまっすぐだから痛みが出ている。」→ 説明としてわかりやすいため患者の理解や納得も得られやすい。それだけが原因でないことは医師も分かっているがわかりやすく説明している。

上記のような理由からではないでしょうか?実際にJAMAの論文(参考1)でも2006年から2018年に男女ともにストレートネックとスワンネックの割合が増加している。ストレートネックに関しては12年で10%程度割合が増加している。その原因はパソコンやスマホのやり過ぎなど生活習慣の変化が疑われる。などが指摘されています。つまり、ストレートネックだから、という理由は説明しやすいのです。しかし一つの疑問が浮かびます。

ストレートネックだから痛み・不調が出るとは限らない

ストレートネックやスワンネックだったとしても不調が出るとは限りません。ヘルニアや脊柱管狭窄症も同じです。筋肉が柔らかい状態で可動域が正常であるならば不調は出ないケースも多く、それらが原因で症状が出るかどうかは、よくわからないのです。実際、厚生労働省も85%の腰痛は原因不明だと明言しています。(参考2)私自身も腰部MRIを撮影したところヘルニアの可能性を医師から指摘されたことがあります。それらがあれば将来的な腰痛や不調につながる可能性がありますが、すぐに痛みなどの症状が出ることはないです。普通に生活できています。ヘルニアがあっても腰痛が出ない人はいます。同じようにストレートネックやスワンネックでも首の不調が出ない人はたくさんいます。しかし皆さんお医者さんにストレートネックだと指摘されるとずいぶんと気にしてしまう方もいるようです。症状が出ていなければそこまで心配しなくても大丈夫なのですが。

ストレートネックを改善するために何をすべきか?

まずは必ず医師や専門家に相談し、個別のアドバイスを受けるようにしましょう。そのうえで以下の方法が役立つかもしれません。

1:適切な姿勢の維持: 頭が前に出たり、肩が丸まったりしないように、正しい姿勢を保つことが重要です。デスクワークをする際には、モニターの高さや椅子の高さを調整し、背中をしっかりと支えるクッションを使うことが役立ちます。

2:ストレッチとエクササイズ  首と肩の筋肉を強化し、柔軟性を改善するために、医師や理学療法士が勧めるストレッチとエクササイズを行いましょう。特に、首、肩、背中の筋肉を鍛えることが大切です。首そのものをどうにかするよりも首に負担をかけない方法例えば、ぶら下がり健康法や水泳などをお勧めします。

3:リラクセーション法: ストレスがストレートネックの原因になることがあるため、リラクセーション法を実践することが重要です。瞑想、深呼吸、ヨガ、プログレッシブ・マッスル・リラクセーション、鍼治療などが役立つでしょう。

4:体重管理 過体重は首の負担を増加させる要因となります。健康的な体重を維持し、適切な運動を行うことがストレートネックの予防と治療に役立ちます。

5:ポストラルトレーニング: 専門家が指導するポストラルトレーニングプログラムを受けることで、正しい姿勢を維持しやすくなります。(参考3)

6:痛み管理 ストレートネックが痛みを伴う場合、医師の指導の下で適切な痛み管理方法を採用することが大切です。場合によっては薬物療法もありうるでしょう。痛みが軽減されると、運動やストレッチが行いやすくなります。

7:医師の診断とアドバイス ストレートネックの症状が慢性的で重度の場合、医師の診察と治療を受けることが不可欠です。医師は適切な治療法や必要な検査を指示し、症状を管理します。

 

田無北口鍼灸院でも緊張の改善や痛みの管理、運動指導などを通してストレートネックの改善をお手伝いできます。仕事や生活習慣などを細かくお聞きし適切なアドバイスも行います。お困りの方は一度ご相談ください。

 

参考1:Temporal Trends in Cervical Spine Curvature of South Korean Adults Assessed by Deep Learning System Segmentation, 2006-2018

参考2:厚生労働省 腰痛対策

What Can the History and Physical Examination Tell Us About Low Back Pain?

参考3:ポストラルトレーニングは、姿勢を改善するために行われるトレーニングや運動のことを指します。

民間療法とは何か?上手な付き合い方とは?

近年、民間療法がニュースになる場合ネガティブな論調で語られるケースが多いです。例えば「民間療法はエビデンスがない。」、「根拠がない民間療法を信じて症状が悪化した。」、「怪しいサプリメントにお金をつぎ込んでしまい損をしてしまった。」というものです。しかし民間療法は決して悪い部分ばかりではなく自分自身の身体に関心を持つようになったり、健康や暮らしへの意識が高まるなど良い部分も沢山あるのです。そもそも民間療法とは何なのでしょうか?また、どのように民間療法と上手に付き合っていけばよいのでしょうか?その事情に詳しい三樹園社 築田多吉商店の築田豊さんにお話を伺いました。

お話:築田豊さん(三樹園社 築田多吉商店・薬剤師)

大正時代に出版され日本で一番読まれた民間療法のスーパーベストセラー本「家庭における実際的看護の秘訣」(通称・赤本。以下赤本。)の作者築田多吉さんの孫。成蹊中学・高校を卒業後、東京薬科大学を卒業。薬剤師免許取得後製薬会社に勤務。その後世田谷区弦巻で薬店を営み医薬品・健康食品の開発に従事。現在は東京都西東京市に会社を移転。

民間療法とは?赤本は民間療法のバイブル。

田無北口鍼灸院・白石(以下白石):まずは民間療法とは何かについて整理します。正確に定義はされていないものの九州大学医学部のページには「 広く民間で伝承されているような治療法で、また経験に基づくアドバイス。一般の医療機関以外で行われ、医療施設による指導などが行われていない療法。」とあります。近年では厚生労働省が民間療法を統合医療の一部とみなしています。現在も民間療法は存在し、例えば私が生業にしているお灸(参考1)や、寒風摩擦、薬草利用、青汁などは民間療法の一部であるとも考えられます。民間療法といえばその界隈では赤本がもっとも有名であると思われますが出版された大正14年当時の時代背景や築田多吉さんについて簡単に教えてください。

築田豊(以下築田):多吉は明治5年、現在の福井県福井市の生まれです。16歳のころ上京し海軍に入隊し衛生兵を務めました。医師ではありません。今でいえば看護師で兵士も兼務している感じでしょうか?以後35年間海軍病院に勤務する傍ら全国各地に伝わる民間療法や伝承薬の情報を収集しまとめあげ大正14年53歳の時に赤本を出版しました。例えば、けがをして熱を持った痛みには芋を湿布として使うと熱が取れて早く治る。粉末からしを溶かして胸に塗ると初期の風や気管支炎の熱さましになる。大根おろしの絞り汁をガーゼに浸し、肛門に湿布すると痔の痛みが治まる。といった具体的な方法が書かれています。

最初は海軍関係者だけに配る予定でしたが評判になり次々と増刷され全国に広まり、戦前は一家に一冊ある定番の家庭の医学書になりました。現在までに増刷を繰り返し正確な数字は分からないものの累計2000万部を超える出版がなされているのではないかと思われます。当時は今のように薬も、医療機関もたくさんある訳ではなかったのです。また今のようにインターネットもありませんので誰でも気軽に健康情報にアクセスできる状態ではありませんでした。「自分の身は自分で守る。」という時代であり、ケガの応急処置から養生法までが記載された赤本が重宝されました。

白石:近年では予防医学やウェルネスが世界的な注目を集めていますが民間療法や養生はそれらの発想も先取りしているのではないでしょうか?

築田:その通りです。多吉が推奨した方法はお金かかる訳でなく、手間を惜しまなければだれでも取り組めるものが多いです。健康とは万人の願いであり、また人間には自然治癒力が備わっているため、本来は誰でも健康になるための取り組みができるのです。

大ヒット商品「梅肉エキス」と薬事承認

白石:赤本にも登場する健康食品、梅肉エキスは現在でも広く愛用されています。風邪の予防や癌になってしまった方が健康増進目的で愛用することも多いとお聞きしました。これは多吉さんが研究されこだわった物の一つだと思いますが誕生までのいきさつなどを教えてください。

築田:梅は日本でも梅干しや梅酒、菓子など様々な食品に利用されます。またその効用は様々な古文書にも書かれており、例えば16世紀に書かれた本草綱目では鳥梅(うばい)という梅の黒焼きが歯茎の腫れや吐しゃに効果があると書かれています。多吉は梅の効能を研究し赤本の中で公開しました。熟した梅ではなく青梅でなくてはいけません。実は当社では梅肉エキスを1957年から医薬品として販売していました。効果・効能は「大腸カタル・下痢・自家中毒」でした。しかし1997年医薬品の取り扱いをに自主的に返上したため現在は健康食品扱いになっています。その当時、厚生省はいわゆる健康食品を推し進め、各都道府県の薬務課の医薬品承認が急に厳格になりました。大手の医薬品のみを優遇するような政策で昔からやっていた小さな医薬品メーカーはこれに対応できず軒並み廃業となってしまったのです。梅肉エキスもそのあおりを受け健康食品となったのです。

しかし健康食品は医薬品と違って認可が必要でないため、参入障壁が低く近年は一部モラルのない事業者が消費者トラブルなどの問題を起こしたりします。これは非常に残念なことです。

民間療法と正しく付き合うために

白石:現在は民間療法がニュースになる場合ネガティブな論調で語られるケースが多いです。この点についてはどうお考えでしょうか?

築田:がんなどの難病分野で特に問題になりますよね。有名人が誤った付き合い方で症状を悪化させたというニュースは後を絶ちません。病気で困っている人が健康被害や経済的被害を受け、損をするようなことはあってはならないと思います。しかし一方で民間療法に罪はありません。先ほども軽く触れましたが多吉が推奨した民間療法は手間がかからず、安価で、身近にあり、誰でも試せるものが多くなっています。使い方を誤らなければ現代にも十分役立つものが多いと思います。もちろん食品やサプリメントにも相互作用と言って薬の効果を弱めたり強めたりする作用がある場合があるため注意は必要です。しかし、結局のところは付き合い方であると思います。それに今のお薬にエビデンスがあってもなかなかよくならない病気は沢山あり、少しでも自分の体調をよくしたくて民間療法に頼る人も出てきます。民間療法はこれからもなくなることはないでしょう。

自分にあうと思った方法を取り入れ、自身の健康や身体に関心を持つようになるならば気持ちも前向きになるため素晴らしいことだと感じます。今の世の中は健康情報と上手に付き合い、現代医学も民間療法も双方ともうまく利用することがますます重要となってくるのではないでしょうか?

参考1:お灸に関しては「民間療法だった。」が正確でしょう。昔は各家庭でお灸をすえることは割と一般的でしたが、現在は1947年に施行されたあはき法(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律)により業として他人にお灸をすることはきゅう師・医師以外法律で禁じられています。ただ現在も自分で自分にお灸をすることは合法です。

取材日:2023年9月13日

前庭神経炎・メニエール病・突発性難聴他。めまいと鍼灸治療について。

例えば、めまい症状を訴える病名の一つに「前庭神経炎」(ぜんていしんけいえん)というものがあります。症状としてはめまいが突発的に発症し強い回転性のめまい感が数時間から数日続きます。耳鳴りなどの耳の症状が伴わないことが特徴になっています。原因としては前庭神経の炎症ですがなぜ炎症が起こるのかはあまりよくわかっておらずウィルス感染なども考えられています。

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めまい症状で鍼灸院へ相談にいらっしゃる方は数多くいらっしゃいます。上記のように「耳鳴りなどを伴わないめまい」をお持ちの方が来所された場合まずは耳鼻咽頭科で検査を受けることをオススメしています。診断基準があるのでまずは医師による診察を受けるのが良いでしょう。何が原因でめまいが起こっているのか?早期に把握することは非常に大切です。ストレス性・筋緊張が原因なのか?前庭神経の問題なのか?緊急を要するのか?知っておくことが良いでしょう。

鍼灸の施術により緊張の緩和や血流促進、炎症反応の緩和など期待できますが「前庭神経炎」に対するはっきりとしたエビデンス(論文や根拠)は見当たりません。しかし血流を促進したり周辺筋肉緊張を緩和させることが症状改善の役に立つことは疑いようがありません。ですので鍼灸治療は自信を持ってお勧めできることが多いです。

「どのタイミングで何かを受診すればいいか?」わからない方などは遠慮なくご相談ください。弊所では適切に病院への受診も勧めます。

以下、めまい症状を伴う疾患についてまとめていきます。ご参考までに。

(1)回転性の目まい グルグル・ぐるぐる

自分がぐるぐるしたり周りがぐるぐるするなど感じられます。特徴としては以下のことがあげられます。耳の中の平衡器官に急激な変化が生じた時に起こりやすいといわれ耳鳴りを伴うことが多いです。以下のような疾患があります。

・ 良性発作性頭位めまい症

耳の異常によるめまいの中でもっとも多いといわれます。内耳の前庭にある耳石がはがれ、三半規管に入り込んでしまう病気です。 朝起きるときなど頭を動かしたりすると回転性めまいが起こりますがすぐに楽になって症状が消えます。めまいの持続時間は数秒から数十秒くらい。

・ メニエール病(内リンパ水腫)

内耳を満たしている内リンパ液が増え過ぎ内耳がむくみ、圧迫することでめまいが起こります。この状態を内リンパ水腫と呼び、めまいのほか、難聴・耳鳴り・耳のつまり感など伴うことがあります。発作時のめまいは激しく、嘔吐することもあります。めまいが治まるまで、数時間から1日、ときにはそれ以上かかります。めまいが起こると難聴が悪化し治まると正常に戻るか程度が軽くなります。

・ 外リンパろう

外リンパ瘻(ろう)とは、耳の内耳(ないじ)という部分を満たしているリンパ液が内耳から中耳に漏れることによって、さまざまな症状を起こす病気です。けがや内外から内耳に圧がかかることによって起こることが多いと言われています。めまいのほか難聴や平衡障害など、さまざまな外リンパ瘻の症状が現れます。聞こえが障害されるので、周りの音が聞こえにくくなります。

「水が流れているような音がする」

「水の中にいるような音がする」

という表現をされる方も多いです。

・ 前庭神経炎

突然、回転性の激しいめまいが起こります。2~3日続いた後、徐々に症状は軽くなりますが、立ちあがった時や歩行時のふらつきは、長期間続くことが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。悪心(おしん・気持ち悪い感じのこと)や嘔吐を伴うことがありますが、耳の聞こえには全く異常がないことが特徴です。風邪をひいた後に発症することが多いため、ウイルス血液の循環の障害が原因ではないかと考えられています。

・ 椎骨脳底動脈循環不全症

椎骨脳底動脈の循環が一時的に悪くなり、脳幹部の虚血状態を来たすとめまいや嘔気、嘔吐などの症状が現れます。ひどい場合には意識障害もきたします。この脳幹部の一過性脳虚血状態によりめまい発作を繰り返す状態を椎骨脳底動脈循環不全症(VBI:Vertebrobasilar Insufficiency)と呼びます。回転性めまいが多いですが、浮動性めまい、クラッとするめまいが起こることもあります。視界がぼやける、気が遠くなる、吐いてしまう、手がしびれるなどの症状を伴うことが多いです。難聴や耳鳴りはほとんど見られません。

・ 脳卒中(脳梗塞・脳出血)

緊急性がある疾患です。めまいのほか以下のような症状があります。不安な場合は自己判断せずにすぐに病院等で診察を受け専門家に相談しましょう。ろれつが回らなくなる、言葉が出てこなくなる片側の顔や腕足が突然しびれる、物が二重に見える、突然の激しい頭痛・・・など

・ 突発性難聴

ある日突然、片側の耳の聞こえが悪くなる疾患が突発性難聴です。40代~60代に多く、発症率は約3千人に1人と推定されています。何月何日に発症したとはっきりわかるのが特徴で、難聴が徐々に悪化したり、日によって聞こえの程度が変ったりすることはありません。また約3割にめまいが起こ りますが、一時的なもので、繰り返すこともありません。

 

(2)動揺性(浮動性)めまい フワフワ・グラグラ

自分の体がフラフラ・グラグラ・ゆらゆらするように感じるめまいのことをいいます。原因不明のことや脳の病気で起こることも多いです。

以下のような疾患が代表例です。

・ ひどい中耳炎

中耳炎がひどくなるとフワフワした目眩が出ることがあります。

・ 脳の病気

脳梗塞・脳出血・脳腫瘍など

 

(3)くらっとするめまい

以下のような場合にくらっとするめまいが出ます。

・ 高血圧

・ 低血圧(起立性低血圧)

いわゆる立ちくらみのような状態です。

・ 不整脈

・ 低血糖症

・ 心因性・その他ストレスなど

(4)まとめ 

めまい症状はさまざまで必ずしも上記のような症状に当てはまるとは限らず病院でもなかなか診断名がつかないこともあります。また上記でもあげましたが脳疾患など重大な疾患が隠れている場合もあるので注意が必要です。

弊所では

・ いつからどんな症状が出てるか?

だけでなく

・ 病院に行ったか?

・ CT/MRIなど検査は受けたか?

・ どんな診断が出たのか?

・ どんな薬が出ているのか?

なども詳しくお聞きしながら施術を行います。

(5)めまいと鍼灸の施術

東洋医学的な考え方で言いますと目がかすんで目の前が暗くなるのを眩(げん)といいます。ぐるぐるものが回って見えたり揺れ動いて見えるものを暈(うん)といいます。この二つが良く同時に起こることから眩暈(めまい)と呼ばれます。まためまいは「目眩」とも書きますが元々は目がかすんで頭がくらくらすることを目眩(もくげん)といいました。眩暈の原因については中国の医学書古典「内経」にもかかれていて

「みな肝に属す」・「上気不足」・「髄海不足」

などと説明されています。鍼灸にはめまいを直接止める作用はありませんが全身の気血バランスを整える施術を行えば症状が安定してきたり、症状が出ずらくなることも多いです。まずはお話をじっくり聞かせてもらいますのでご相談ください。

めまい(メニエール病等)に対する鍼灸治療と病院(耳鼻科)の検査に関して。

めまいや耳なりの症状で鍼灸院を訪れる方は多いです。それらほとんどの方はすでに病院にいっている場合が多いです。

「病院を受診したがいまいちスッキリしない」

「異常なし、とのことだが症状が残ってる」

「自律神経やストレスの問題といわれた」

「病院での治療を受けているがプラスアルファの治療として鍼灸をしたい」

そんな理由で鍼灸院を選択することが多いようです。まためまいや耳鳴りがあるが

「そもそもどこを受診していいかわからない」

という方も数多くいらっしゃいます。そのような場合は弊所から病院への受診を促すこともあります。めまいや耳なりは緊急性を伴う場合も存在するためです。

鍼灸や東洋医学は大変素晴らしいもので様々な症状に対応できますが決して通常医療(西洋医学・病院での治療)を否定するものではありません。お互いのよいところを補いあいながら(補完関係といいます)最速でよい結果を目指すことをオススメしています。

本日はめまいが出た時に耳鼻科ではどんな検査をするのか?書いていきたいと思います。

耳鼻科での検査・一例

めまい症状出もたくさんの病気が存在します。それぞれ診断基準が存在しますので診断に至るまでには医師が患者さんから細かくお話を聞きとったり(問診)また様々な医学的検査をしたりします。ここではめまい症状で耳鼻科にて行われる医学的な検査の例をあげます。

*病院(耳鼻科)ではどのような検査をしたか?弊所でも細かく聞いていきます。まずはご相談ください。

身体のバランスの検査(平衡感覚)身体がふらふらしている時は歩いている時もバランスが崩れたりするのでその動きを見ていきます。

耳内の検査

耳の中に腫れや炎症など異常がないか調べていきます。

聴力検査

めまいの原因は耳の問題であることも多いために耳のきこえを検査します。高音域の聞こえが悪いか?低音域の聞こえが悪いか?などの判別をしていきます。

眼振検査

目が振り子のようにうごくことを眼振といいますが身体の平衡が乱れる時に眼振の乱れもひどくなります。特殊なメガネをかけて検査していきます。(フレンツェル眼鏡)眼振を電気的にとらえて記録する電気眼振図検査というやり方もあります。

血液検査・血圧検査

糖尿病、強い貧血、梅毒などでめまいが生じることもあるために血液や血圧の状態を検査します。

レントゲン検査

首や耳の骨の状態を確認するためレントゲン検査を行うことがあります。血管や神経などさらに細かい検査が必要な場合はCT、MRIなどの検査をすることもあります。ほかには重心動揺検査、温度刺激検査などもあります。上記にあげたものは一例ですが耳鼻科で診断に至るまでにはこのような検査を行うことが多いのです。

めまいの際病院(耳鼻科)で処方される薬・例

あくまでも一例です。お薬は医師の指示通り服用しましょう。

アデホスコーワ:メニエール病、内耳障害などの際に処方される。

メリスロン:内耳の血流を促進、回転性めまいを和らげる。

プレドニン:ステロイド。抗炎症作用。

メチコバール:末梢神経の修復。