月: 2021年5月

    解釈モデル・説明モデル。鍼灸臨床現場での医療面接に関して。

    医療社会学、医療人類学、医療面接の分野で出てくる「解釈モデル」について説明してまいります。鍼灸臨床現場でも「解釈モデル」の話は関係します。「解釈モデル」は医療人類学者のアーサー位マンによって提唱された概念です。英語ではExpkantory Modelです。それが訳されたものが「解釈モデル」ですが「説明モデル」という言いかたもされることがあります。(日本語に訳された際に、解釈モデル・説明モデルは少し意味が違ってしまった部分もありますがそれは後述します。)

    「解釈モデル」とは?

    患者が自分の病気について、自分の味方で推測し、自分の言葉で表現し自分の価値観で意味づけた一塊の考え方のことです。★1 実際の医学的な根拠とは異なっていても患者がどのように自身の病気を捉えているか?知る手掛かりになるために重要であると言われています。解釈モデルには以下の内容が含まれるとされています。

    ①病気の原因は何か?

    ②症状の始まりとその様子はどのようなものであったか?

    ③その病気によってどのような生理現象の変化が起こったのか?

    ④病気の経過はどのようであったか?

    ⑤どのように治療したらよいか?

    これらは順序通り話してくれるとは限りませんし、また専門用語を知らないことを恥じている場合もあります。信頼関係がないと話してくれないのです。また解釈モデルに焦点を当てた場合、患者は以下4つのタイプがあると言われています。

    ①解釈モデルのある人

    ②自分だけでは解釈モデルを作れない人

    ③解釈モデルを持っているがなかなか言い出せない人

    ④非現実的な解釈モデルを持っている人

     

    ・・・臨床現場では治療する側の医師や鍼灸師が「患者の解釈モデルを把握できること」が重要視されます。一方で人類学者が「説明モデル」という言葉を使う際には「医師の(この)病気に対する理解・考え」も含まれます。★2

     

    参考

    ★1 改訂版 鍼灸臨床における医療面接 丹沢章八(医道の日本社)

    ★2 医師・医学生のための人類学・社会学(ナカニシヤ出版)

    ストレスと腰痛について 

    ◎ストレスと腰の痛み

    腰の痛みが精神的なものによって起きるということについて説明します。腰をいくら検査しても、原因が特定できない腰痛(非特異的腰痛)と言われているもので、最近患者が増えています。「腰が痛くて、整形外科に診察に行っても、原因は分からず、湿布と痛み止めをもらって帰ってきたが、翌朝、腰が痛かったり、だるかったりして、ベッドから抜け出せなかった」と訴える患者さんはいるものです。また、多くの人や重役さんたちの前で、スピーチやプレゼンテーションをしなければならない時、面接を受ける時など、緊張して身体がガチガチになり、それがこうじて慢性的な腰痛になってしまう人も珍しくありません。

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    メカニズム的に言うと、緊張で筋肉の血流が悪くなり、筋肉疲労になります。その結果、背中や腰の痛みを引き起こすことになります。生理学的には、自律神経の乱れで交感神経が優位になると、身体は常に緊張状態になり、動悸まで聞こえてくるようになります。交感神経がコントロールしにくくなるからです。つまり精神的疲労や心の抑圧から心身の不調を招いてしまうことになり、仮面うつ病、心因性の腰痛と診断されるケースも出てくるのです。

    対処療法としてはマッサージや入浴、鍼灸等で、血行を良くし、疲労を取り除くのが大事です。ただし、腰痛の原因を突き止められなかったら一度、心身症などの専門医による診察を受けられることもお勧めします。弊所から病院のご紹介もできます。

    2013年2月、「たけしの本当は怖い家庭の医学」という番組で、「腰痛の隠れた本当の原因を解明!完全対処スペシャル」が放映され、非特異的腰痛とストレスとの関係がテーマになりました。この番組ではこれまでご紹介してきたストレスとの関係において、少し角度を変えた分析をしていました。腰など体の一部に何らかの異常が起きると、神経を通じ脳に伝わり、異常が起きたことを「痛み」として認識します。このメカニズムを支えているのが、脳のなかで情報をやりとりする神経伝達物質ですが、ストレスを感じ続けると、この伝達物質の分泌に異常が生じるようになり、身体と脳との間で情報が正確に伝わらなくなってしまいます。結果、脳が誤作動し、通常なら痛みを感じないような小さな腰の異変を、強い痛みとして感じてしまう、との説を紹介していました。患者さんの訴えをフェイクのように断じるのは少々疑問を感じますが、未だに腰痛の原因が十分解明されていない点などを考えると、生半可では太刀打ちできない、この症状治療の奥深さを感じずにはいられません。

     

    低周波鍼通電療法(パルス療法)に関して。自律神経症状・急性腰痛症状などある方に施術を行います。

    田無北口鍼灸院では鍼治療に電気(低周波)を流し施術を行うことがあります。どのような鍼治療方法でどのような効果があるのか?まとめていきたいと思います。

    (1)鍼通電療法とは??周波数・時間

    鍼通電療法とは上写真のように鍼を刺した状態で低周波通電を行い筋肉を収縮させていく治療法です。田無北口鍼灸院でも良く行います。周波数はおおむね以下のようになります。低頻度1~10Hz=単収縮  高頻度30~100Hz=強縮

    通電時間は15分が妥当な時間だといわれています。

    オピオイドを経由する痛覚閾値の上昇を期待する場合は(脳から痛みを和らげる物質を出そうとする場合)20分が妥当だといわれています。骨格筋内の循環促進を目的とするならば5分でも効果があるといわれています。

    (2)低周波鍼通電療法の効果

    ・ 鎮痛効果

    ・ 末梢循環の促進効果

    ・ 自律神経反応を介した正常化

    ・ 筋緊張の改善

    などの効果があります。

    (3)低周波鍼通電療法はどんな場合に有効か??

    鍼通電を用いなくても鍼の刺激により鎮痛効果など上記の効果が得られることがわかっていますが低周波を用いて通電するととくに「痛覚閾値の上昇」(鎮痛)効果が高いとされています。*医道の日本社「中高齢者の鍼灸療法」より

    また「一定の刺激を与えられる」ことから刺激管理がしやすいというメリットもあります。*医道の日本社「鍼通電療法テクニック」より

    田無北口鍼灸院では

    ・ 筋緊張の改善

    ・ 疼痛の改善

    はもちろんですが

    ・ 自律神経の安定

    を目的に鍼通電施術を行うことも多いです。症状で言いますと以下のようなものでしょうか。

    ・ ぎっくり腰(急性腰痛)

    ・ 寝違え

    → アイシングも併用します。

    ・ 緊張性頭痛

    ・ 腰痛症

    ・ 肩コリ

    ・ 坐骨神経痛・しびれ

    ・ 腰椎ヘルニア

    ・ 頚椎症

    ・ 頸椎ヘルニア

    ・ 自律神経失調症

    ・ パニック障害

    ・ コリ症状全般

    ・ 痛み症状全般

    ・ 痺れ症状全般

    ・ 自律神経症状全般

    ・・・などなど。

     

    どんなことに効果があるのか?など詳しく知りたい方はご質問ください。また慢性的な腰痛に低周波療法(TENZ)のみをおこなってもあまり効果がなかったという研究論文もあります。鍼通電療法とは少し違いますし腰痛の種類も様々ですがあまり効果がないものもあることは事実ですので事前によくお話させていただきます。わからないことがある方はご質問ください。

    「糖尿病」の方へのお悩み相談。鍼灸に関して。しびれ・痛みの改善

    *「痺れ」についてご相談したい方はまずはこちらのページをご覧ください。ここでは糖尿病が原因のしびれについて書いています。

    糖尿病とは??その悩みとは??

    病気についてはご存じの方も多いと思いますので簡単に・・・。インスリンが十分に働かないため血糖値が下がらなくなってしまう病気です。ほとんどの方は病院で投薬治療を受けているでしょう。では投薬治療を受けている方はどんなことで困り悩んでいるのか?また鍼灸治療がどのようにお役に立てるのか?一例をあげていきます。

    (1)痛みや感覚障害(糖尿病性末梢神経障害)

    この状態が長く続いてしまうと血管や神経がボロボロになり末梢神経障害が起こります。どういう状態になるかと言いますと身体の様々な場所に痛みやしびれが出るのです。このしびれや痛みに関して鍼灸治療は効果があります。血流を促進させ痛みを緩和させます。

    東京大学病院の先生も鍼治療で痛みや感覚障害の緩和について論文をかかれています。

    (2)体重のコントロール

    「耳鍼が体重コントロールに効果がある」という論文もあります。ストレスに対して有効でしょう。

    (3)その他肩こりや頭痛

    その他、緊張や体質からくる肩こりや腰痛の緩和も行えます。

    ・・・

    上記のように病院の治療と併用しながら鍼灸を組み合わせることでQOL(生活の質)の向上が期待できます。糖尿病の方が痛みやしびれなどの体調不良で悩んでしまったときなかなか相談する場所がなくて困ることも多いのではないでしょうか?弊所では病院の治療方針などを否定することなくしっかり体調管理を行うことができます。まずは一度遠慮なくご相談ください。