月: 2022年2月

    三叉神経痛、片頭痛、群発性頭痛の鍼治療

    「三叉神経痛」の症例をご紹介しておきます。鍼治療で改善したようなのでこちらで経過などを書いていきます。*かならず改善するということではなく一例です。

    経過

    30代女性。もともと顎関節症気味で首や肩に強いコリがある。年末年始の疲労からか?頭痛や歯の痛みを感じるようになった。水やお湯を飲むと刺激で痛みが増強。弊所で状態を見せていただきお話を聞く。

    おそらく三叉神経痛では?

    と思ったが脳疾患などでは困るので念の為脳神経外科等の病院にも行くよう指導。・・・精密検査の結果特に異常はなく担当の医師からも「三叉神経痛ではないか?」との診断が下された。一般的には薬物療法や場合によっては手術療法などもあるようですが鍼治療でも頭痛症状に改善効果があります。研究論文も存在します。

    施術内容

    顔面・頸部・肩・頭部・額関節周辺の緊張が非常に強い。その周辺の緊張を和らげ血流を促進する目的で鍼や灸の施術を行った。頻度は週3回ペース。毎回症状は緩和。8回目くらいで日常生活の不自由や痛みを感じなくなった。

    似たような病気

    片頭痛(偏頭痛)も同じように血管に由来する頭痛である。治療法も似ている場合が多い。ほかには男性に多い「群発性頭痛」という疾患もある。(同じカテゴリーで考えられることもある)鍼治療で改善することも多い。しかしながら、前述のように脳の疾患などがあってはいけないいので状況を知っておくことも大事で病院で診察を受けることも重要です。また「血管拡張すると痛みが増す」・・・ような痛みが出た場合応急処置として冷やすことも有効です。仰向けになって眼の周辺を冷やすと痛みが落ち着く方が多いです。(応急処置法)この痛みのコントロールを知るだけでも「薬だけ」に頼らなくてもよくなり精神的にずいぶん楽になる方は多いです。

    必要に応じ病院もご紹介できます。何かあればご相談ください。

    頭痛に関して分類(緊張型頭痛・片頭痛など)と鍼灸

    <1>頭痛の分類

    頭痛とは頭部の一部あるいは全体の痛み総称。国際頭痛学会の頭痛分類は以下のように頭痛を分類している。

    (1)一時性頭痛

    ・ 片頭痛

    ・ 緊張型頭痛

    ・ 群発痛およびその他の三叉神経痛、自律神経性疼痛

    ・ その他一時性頭痛

    (2)二次性頭痛

    ・ 頭頚部外傷による頭痛

    ・ 頭頸部血管障害による頭痛

    ・ 非血管性頭蓋内疾患による頭痛

    ・ 物質またはその離脱による頭痛

    ・ 感染症による頭痛

    ・ ホメオスタシスの障害による頭痛

    ・ 頭蓋骨・首・眼・耳・副鼻腔・歯・口など顔面・頭蓋の構成組織障害による頭痛、顔面痛

    ・ 精神疾患による頭痛

    (3)頭部神経痛、中枢性一時性顔面痛
    及びその他の頭痛

    ・ 頭部神経痛および中枢性顔面痛

    ・ その他の頭痛 頭部神経痛など

    鍼灸院の現場では片頭痛および緊張型頭痛の相談や施術が多いです。それらを中心にまとめていきます。

    <2>頭痛に対する鍼灸治療のエビデンス

    (1)一時性頭痛に関して

    欧米では「非薬物療法」として広く認知されランダム化比較試験による報告も多い。

    一例

    ・ 通常治療(薬物療法)

    → 3か月の頭痛日数が
    8.1日から7.5日に減少

    ・ 通常治療に加え、鍼治療を加えた群
    → 3か月の頭痛日数が
    8.4日から4.7日に大きく減少。

    *医歯薬出版株式会社
    「鍼灸臨床最新科学より」

    片頭痛の予防に関してはコクランレビューで比較的ポジティブな評価。

    現代医学のガイドラインでも片頭痛の鍼灸治療は推奨度が高いです。

    <3>まとめ

    一時性の頭痛片頭痛や緊張型頭痛に関しては鍼灸治療がとても有効でエビデンスもあります。薬物療法以外の選択肢として妊婦さん、薬を飲みたくない方へも有効です。一時性頭痛でなくまた緊急性が疑われる場合などは医療機関への受診を勧めるなどフォローさせていただきます。お気軽にご相談ください。

    動画も参考までにご覧ください。

    片頭痛・偏頭痛(へんずつう)の応急処置方法

    梅雨時や季節の変わり目、気温さが激しい時期など「片頭痛がひどくなる」というご相談をいただくことが多いです。片頭痛かどうかは診断基準があります。

    前兆のない片頭痛の診断基準
    国際頭痛分類第2版、2004年

    日本頭痛学会より

    A. B~D を満たす頭痛発作が
    5 回以上ある

    B. 頭痛の持続時間は4~72 時間
    (未治療もしくは治療が無効の場合)

    C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも
    二項目を満たす
    1.片側性
    2.拍動性
    3.中等度~重度の頭痛
    4.日常的な動作
    (歩行や階段昇降など)
    により頭痛が増悪する、あるいは
    頭痛のために日常的な動作を避ける

    D. 頭痛発作中に少なくとも
    以下の一項目を満たす
    1.悪心または嘔吐
    (あるいはその両方)
    2.光過敏および音過敏

    E. その他の疾患によらない

    ・・・弊所に相談に来る方は病院ですでに診断を受けてから来所される方が多いです。

    ・ 病院に行ったがあまり頭痛が改善しない

    ・ 病院の薬があまり効かない

    ・ 薬をあまり飲みたくない

    など。理由は様々ですがある程度自分の症状についてどのような状態かわかってらっしゃる方も多いのです。鍼灸は一時性頭痛と呼ばれる頭痛(緊張型頭痛や偏頭痛など)に対して効果が高いです。エビデンスも豊富です。現代医学のガイドラインでも推奨されています。頭痛で悩む方は緊張型頭痛にしても片頭痛にしても緊張をしている方が多いです。鍼灸の施術では筋緊張を和らげていきます。

    片頭痛は血管が拡張することで起こる頭痛ですので施術後に痛みが一時的に悪化することもあります。そのような場合は写真のようにアイシングしたりもします。血管を収縮させると頭痛は治まります。自宅での片頭痛応急処理も、横になっておでこを冷たいタオルなど冷やすといいでしょう。温めるより冷やす方が楽になるはずです。やってみてください。ただし悪化した場合はすぐに中止し専門家に相談してください。あくまでも応急処置です。