月: 2024年8月

    ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方への鍼灸治療

    どのような病気か?どのようなことが鍼灸治療でできるのか?解説します。ALSをお持ちの方で痛みや自律神経症状、嚥下障害などでお困りの方は一度弊所までご相談ください。

    病気の概要

    主に中年以降に発症し、一次運動ニューロン(上位運動ニューロン)と二次運動ニューロン(下位運動ニューロン)が選択的にかつ進行性に変性・消失していく原因不明の疾患である。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器を用いなければ通常は2~5年で死亡することが多い。

    症状

    ALSは発症様式により、(1)上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す上肢型(古典型)、(2)構音障害、嚥下障害といった球麻痺が主体となる球型(進行性球麻痺)、(3)下肢から発症し、下肢の腱反射低下・消失が早期からみられ、二次運動ニューロンの障害が前面に出る下肢型(偽多発神経炎型)の3型に分けられることがある。これ以外にも、呼吸筋麻痺が初期から前景となる例や体幹筋障害が主体となる例、認知症を伴う例もあり多様性がみられる。

    公益財団法人 難病情報センターより)

    段階的な症状

    ALS(筋萎縮性側索硬化症)の進行症状は、一般的に次のように医学的に分類されます。この分類は、ALSの進行に伴う筋力低下や機能障害を中心にした段階的な進行を示しています。ALSの進行は個人差があるため、すべての患者にこれらの段階が当てはまるわけではありません。

    初期段階(Stage 1: Early Stage)

    症状の特徴 :

    初期の筋力低下が特定の筋群に限定される。最初は片側の手や足の筋力低下、筋肉の萎縮が見られることが多い。

    機能的影響 :

    日常生活での軽微な障害(例:物を持つのが難しい、階段を上るのに時間がかかるなど)。

    臨床的所見 :

    神経学的検査で筋力低下が観察されるが、一般的には重大な機能障害はまだない。反射異常(例:深部腱反射の亢進)が見られることがある。

    中期段階(Stage 2: Middle Stage)

    症状の特徴 :

    症状が左右の両方に広がり、複数の筋群に及ぶようになる。上肢や下肢の筋力低下が進行し、筋肉の硬直や痙縮が現れることがある。

    機能的影響 :

    動作が徐々に困難になる。歩行の困難さが増し、手の巧緻性が低下する。自立した生活が難しくなる可能性がある。

    臨床的所見 :

    筋萎縮がより明確になり、筋力低下と共に筋緊張異常(痙性)や筋肉のけいれんが見られる。嚥下困難や言語障害(構音障害)が出始めることもある。

    後期段階(Stage 3: Late Stage)

    症状の特徴 :

    全身の筋力低下と筋萎縮が顕著になり、呼吸筋も含む全身の筋肉が影響を受ける。食べ物を飲み込むのが非常に困難になり、誤嚥のリスクが高くなる。

    機能的影響 :

    日常生活の全ての動作に介助が必要となる。歩行や立ち上がることがほとんど不可能になる。多くの患者は車椅子を使用する。

    臨床的所見 :

    筋力低下が著しく、四肢の筋肉や軀幹筋、呼吸筋が広範囲にわたって萎縮し、痙縮や不随意運動が増加する。呼吸困難が現れる場合があり、呼吸補助が必要になることが多い。

    4. 末期段階(Stage 4: End Stage)

    症状の特徴 :

    全身の筋肉が著しく萎縮し、運動能力が完全に失われる。呼吸筋の麻痺により、呼吸不全が生じる。

    機能的影響 :

    ほぼ全ての身体機能が失われ、自立した生活は不可能となる。人工呼吸器の使用が必要になる場合が多い。

    臨床的所見 :

    筋力の完全な喪失、呼吸機能の著しい低下が見られる。栄養摂取や水分補給のために経管栄養が必要となることが多い。

    医学的分類のポイント

    ALSの進行は段階的ですが、個々の患者で進行速度や症状の出現は異なります。また、ALSは下位運動ニューロン(筋肉への信号を伝える神経細胞)と上位運動ニューロン(脳から脊髄への信号を伝える神経細胞)の両方に影響を与えるため、症状は運動機能の喪失だけでなく、反射異常や痙縮などの上位運動ニューロンの症状も含まれます。

    鍼灸治療のメリットは?

    ALSそのものの進行を抑える等のエビデンスは不明ですが症状緩和に効果があります。鍼灸は薬を使わない治療法であることが魅力です。以下に具体例を挙げますが他にも様々なメリットを提供できますのでお困りの方は個別にご相談ください。

    1.痛みの軽減

    ALSの進行に伴い、筋肉の硬直や痙縮、または筋肉のけいれんによって痛みが生じることがあります。鍼灸治療は、これらの痛みを軽減するのに役立つ可能性があります。特に、神経伝達物質の調整を通じて痛みを和らげる効果が期待できます。

    2,筋肉の痙攣と硬直の緩和

    ALS患者は筋肉の痙攣や硬直に苦しむことがよくあります。鍼灸は筋肉の緊張を緩和し、柔軟性を改善することができるため、患者の快適さを向上させる可能性があります。

    3,リラックス効果とストレス軽減

    ALSのような進行性疾患の診断は心理的ストレスを引き起こします。鍼灸治療はリラクゼーションを促進し、不安感やストレスの軽減に寄与する可能性があります。患者がリラックスすると、全体的な生活の質が向上することがあります。

    4,睡眠の改善

    痛みや筋肉の不快感、ストレス、不安が睡眠の質に影響を与えることがあります。鍼灸はこれらの症状を緩和することで、患者の睡眠の質を改善することが期待されます。

    5,疲労感の管理

    鍼灸治療はエネルギーレベルを調整し、慢性的な疲労感を軽減するのに役立つことがあります。これは、ALS患者が日常生活をよりよく管理できるようにするために有益です。

    6,唾液分泌(嚥下)の調整

    ALS患者は時折、過剰な唾液分泌や口渇を経験します。鍼灸は唾液の分泌を調整するのに役立つ場合があります。*ALS患者が対象ではありませんが東北大学が鍼灸治療と嚥下の関係を研究しています。

    高齢者・障碍者の方への鍼灸施術(出張も対応)

    高齢者や障害を持つ方は以下のような悩みを持つことがあります。鍼灸によるケアに興味がある方はまずはお電話にてご相談ください。

    ・痛みが強いが車いすのため出歩けない・・・

    ・持病で寝たきりになった・・・

    ・痛みが強いけどこれ以上薬を服用したくない・・・→  鍼灸施術は薬以外の症状緩和方法としても効果が期待できます。

    高齢者・障碍者の方の特徴、注意点

    高齢者の疾患には以下のような特徴があります。(ケースバイケースです。お悩みにあわせて個別に対応できます。)

    ・ 一人で多くの疾患を有する→  いろいろな病気を持っていたり様々な薬を服用していたりします。

    ・ 症候が非定型的→  特徴的な症状が出るとは限りません。

    ・ 潜在的に臓器の機能低下がある→  便秘や自律神経症状も多いです。

    ・ 慢性疾患が多い

    ・ 薬物に対する反応が一般成人と異なる場合がある。

    ・ 生活機能障害をもたらす疾患が多い→  運動機能低下や、高齢者の場合は知的機能低下が生活機能の低下を招くことがあります。

    ・・・あくまでもケースバイケースで一例ですがざっと挙げただけでも上記のような特徴があるため注意して経過を観察し施術を行う必要があります。

    お悩みの方は出張による施術も受け付けております。また医師の同意を得られれば健康保険の適用になる事もあります。生活保護や障碍者の方、透析中の方、糖尿など持病をお持ちの方、様々な方に対応できます。お悩みがある方は一度ご相談ください。

    出張施術を行った方の例

    ・ 80代女性

    圧迫骨折後の神経痛
    歩けないために介護施設での施術

    ・ 30代女性

    脊椎損傷のため寝たきり
    医師の確認を取り自宅で施術

    ・ 80代男性

    腰痛
    持病の糖尿病あり
    車いす生活のため自宅で施術

    鍼灸施術は痛みをとるだけではなく自律神経の不調も改善し生活の質を上げることができます。高齢者の方へはフレイルやサルコペニアの予防指導も併せて行うことができます。ご相談ください。(ご自宅での転倒にも充分お気をつけください。転倒から骨折し、筋力低下を起こし、寝たきりになるケースもあります。場合によっては西東京市内の骨密度測定を行っているクリニックもご案内することがあります。)

    ご来院される方へ

    弊所ビルはエレベーターもあります。入り口は車いすも入れるよう対応しています。しかし、このエレベーターはなぜか閉まるのが早いため車いすの方は不便だと思います。ご連絡くだされば下まですぐにお迎えにあがります。また賃貸マンションのためトイレはバリアフリー対応していません。申し訳ありません。近隣のトイレを事前にご案内します。

     

    訪問・出張による施術(はり灸・各種調整)について。

    最近、ご自宅等に出張してほしいというご要望が多いのでこちらで詳細をまとめておきます。

    <1>どんな状況で出張してほしい?

    1、ぎっくり腰などで動けないため自宅に出張してほしい

    ぎっくり腰等により動くのが困難起き上がるのも辛いという状況のため出張してほしいというご要望です。応急処置を行ってなるべく早く日常生活に復帰できるようにいたします。鍼灸や各種調整・アイシングなどを行い症状を改善させていきます。

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    施術料金・出張料金について

    急性的な症状の時は施術料金は45分程度6600円~が一つの目安となっております。

    2、慢性的な神経痛・痛みがひどい、歩行困難などで定期的に施術希望。

    慢性的な痛みや歩行困難などにより定期的に施術をしてほしい、というご要望も数多くいただきます。ご高齢者の方や脊髄損傷等により寝たきりになってしまった方など様々な方からご相談いただきます。痛みや神経痛は鍼灸施術や運動療法などにより症状が軽減されることがあります。

    施術料金・出張料金について

    料金は上記に同じく、45分程度の施術で6600円+出張料金が基本ですが定期的に施術を希望される場合で、医師の同意を得られれば健康保険等使える場合がございます。まずはご相談ください。また介護施設に通所中の方も一度ご相談ください。介護施設のリハビリと併用してもよいか?など確認が必要になります。
    <2>出張に持っていく道具

    出張にはタオルや施術道具を持参します。・・・用意していただくものは基本的にございませんが場合によっては氷(アイス)やタオルなどを用意していただくこともございます。

    <3>出張に来てもらうべきか、迷ったら・・・

    一度お電話にてご相談ください。症状などを伺い、施術方針や回復までの見通しなど詳しく説明させていただきます。また弊所の対応だけでなくすぐに病院に行ったほうが良い場合も
    お伝えできます。

    ★メールフォームやLINEからの問い合わせも受け付けております。詳しくはこちらから…

    うつ病と鍼灸治療

    田無北口鍼灸院で施術や治療相談を行っていますと自律神経失調症をはじめうつ(鬱)、うつ傾向でお悩みの方が数多く来所されます。症状や治療方法、鍼灸治療は効果あるか?やうつ病の治療で使われる薬などについても書いていきます。また弊所ではうつ病やうつ状態の方や自律神経失調症でお悩みの方からの相談に数多く応じておりますが診断をすることもできませんし断薬を勧めたり、病院での治療方針を否定することは基本的にしておりません。まずは通常医療(病院の薬など)を選択した上で鍼灸治療と病院の併用をオススメしますが病院の治療が合わない場合などはお話をよく伺い、アドバイスさせていただきます。(断薬を勧めることはありません。)まずはご相談ください。

    (1)うつ病とは?

    うつ病になる原因は生物学的仮説、心理学的仮説などありますがはっきりは分かっていません。何らかの大きなストレスが誘因となることが多いようです。持続的なストレスが原因といわれています。症状は心や体に出ます。以下症状の例です。

    抑うつ気分
    不安・あせり
    遠くへ行きたい・消えてしまいたい
    興味や喜びの喪失
    意欲低下
    自責の念
    会話の内容がわからない

    睡眠障害
    食欲減退
    疲労・倦怠感
    動悸
    息苦しさ・口の渇き
    身体の重さ
    身体の痛み

    (2)うつ病とうつ状態(症状)の違い

    うつ病の場合は診断基準があり(DSM-5、ICD-10など)その基準に当てはまるものがうつ病と呼ばれます。うつ病が原因でうつ状態(症状)があらわれます。

    うつ状態は

    ・ 気分が落ち込んでいて

    ・ 意欲や関心が喪失していて

    ・ 疲れが取れず

    ・ 考え方が後ろ向きになってる

    といった状態(症状)を差しうつ病が原因でこの症状が現れているとは限りません。自己判断でなく必ず医師の診断を仰いでください。

    (3)うつ病の治療

    以下に大別されます。

    1、休養

    2、薬物療法

    抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、その他

    3、精神療法

    認知行動療法など

    4、その他

    漢方薬による治療、運動療法、音楽療法、鍼灸治療など

    (4)うつに対する鍼灸治療の可能性

    上記(3)4,その他の治療法として鍼灸治療が用いられることがあります。

    まずうつ病に対して鍼灸は効くのか?という点ですが海外のものも含め有効性が示された論文が多数存在します。最近ですと頭のてっぺんにある百会というツボに電気鍼治療を行い症状が改善した論文が上がっていました。厚生労働省の「統合医療情報発信サイト」にもうつ病に対する鍼治療の有効性の評価が掲載されていました。また明治国際医療大学の伊藤和憲先生がまとめた報告書によると93%の論文でハミルトンうつ病評価(HAM-D)尺度の改善が認められている、とのことでした。

    うつの程度による効果の差異はHAM-D中等度以上に効果があり重症でも効果があるとされています。軽症に関しては調査が少ないために効果は明確でありません。また薬物単独で治療を行うよりも鍼治療を併用する方が良いとされています。論文でよく使われていてる経穴(ツボ)は以下です。

    百会、四神聡、頭臨泣、印堂、内関、神門、

    三陰交、足三里、太衝など。

    脳の血流を促進するような効果があるのでしょう。まずはご相談ください。

    ★また精神疾患などによりマル障の医療証をお持ちの方は自己負担ゼロ円で鍼灸施術を受けらる可能性があります。事前にご相談ください。

    保険を使った鍼灸施術(生活保護の方も含む)

    田無北口鍼灸院では健康保険・自賠責保険・労災保険・生活保護・マル親・マル障などの医療助成すべて対応しています。ただし、いろいろ制約はあるので下記に詳細を書いています。まずはお問い合わせください。ゆっくりご説明します。*こちらの解説サイトにも詳しい記載がございます。

    自費中心の理由・保険診療の注意点

    施術は基本的に保険診療ではなく「自由診療」(=保険外の治療、という意味です)という形で行っています。一回当たりの施術時間も

    保険診療:10分程度

    自由診療:50分程度

    と、大きく異なります。しかしながら生活保護を受けている方や医師からご紹介を受けたご高齢者の方などは保険診療でもご対応させていただきますしそのほうが良い場合もあります。ぜひ一度、ご相談ください。・・・なぜ、自由診療中心の施術かといいますと保険診療は制約が多いためです。一例をご紹介します。

    ・ 同じ疾患で病院で保険を使えない

    →例えば腰痛で整形外科で薬を出してもらっていた場合鍼灸で同時期に保険診療による施術を受けることはできません。どちらか一つしか保険は使えません。

    ・ 金額やできる内容(痛み系中心の6疾患のみ)が決まっていてできることに限りがあるため。

    →施術時間もさほど割けません。自律神経の不調やストレス性のもの、美容や予防目的の施術は保険対象外になります。

    ・・・上記のような理由から弊所では自由診療を中心に施術を行っていますが「保険診療」を希望される方は

    ・ 安いからオトク

    ・ そもそも施術内容の差がわからない

    といった認識の方もいらっしゃいます。施術の内容も時間もできることも違うのです。安いとかオトクといった性質の話ではないのです。あくまでケースバイケースです。鍼灸院をはじめとした治療院にお問い合わせをしてくださるということは「何らかの不調を改善したい」という目的があるはずです。「安く治療を受けること」が目的ではないはずです。

    ・・・ですがその内容や効果など差があまりわからないと選択する基準として

    ・ どちらが安いか、高いかの金額

    ・ どのくらい長い時間施術するか

    というところでしか判断できなくなってしまうのです。弊所はそもそも「病院でよくならない問題を解決する」という事に特化した治療院です。・・・ですので流れとしては

    病院へ行く

    →あまりよくならない。ストレスが原因だといわれた。原因不明。

    →どうしてよいかわからず鍼灸院に相談

    鍼灸で解決できることを知る。自由診療で鍼灸治療を受ける。

    ・・・

    という流れの方が多いのです。「病院では改善されない不調を改善したい方」にとっては最適だと思いますしご自身を変えたい方のお力に必ずやなれると思います。

    ・ 生活保護を受けている方

    *生活保護を受けている方は持病がある方も多く、薬以外の選択肢である鍼灸が適していることも多いです。詳しくはご相談ください。

    ・ マル親・マル障の保険証がある方

    ・ ご高齢者などで時間に余裕がある方

    ・ 持病があり出張で施術を受けたい方

    などは保険診療での施術をオススメすることもあります。わからない場合は事前にご相談ください。しっかりご説明させていただきます。

    腰痛と足のしびれを伴う腰痛(脊柱管狭窄症)と鍼灸の効果

    腰痛症状で来所される方は多いです。腰痛の原因は様々ですが鍼灸でよくなる根拠や効果をまとめていきます。また、例えば椎間板ヘルニアになっている状態が鍼をすることで灸をすることで「元通り正常にになる」ということではなく症状が改善されて痛みやしびれを感じずらくなるということが多いです。*鍼灸は補助療法的な手段である場合もあるため初回に詳しく説明させていただきます。病院への通院や通常医療へのアクセスを否定することもないです。必要に応じて病院の紹介も行います。

    (1)腰痛とは?足のしびれとは?

    腰痛とは腰部あるいは腰臀部に痛みがある状態で腰下肢症状とは腰部症状とともに足にも症状が出ている状態のことを言います。これらの状態は内臓疾患や心理的要因によっても出現することもありますが筋肉や神経などの組織の問題から起こる腰痛が多いです。腰痛と足のしびれを伴う疾患は様々なものが考えられますがここでは一例として「腰部脊柱管狭窄症」という疾患について考えていきましょう。

    (2)鍼灸の主な効果

    鍼灸の主な効果としては以下のようなことがあげられます。・ 痛みの抑制

    鍼灸の施術を行うと脳内から鎮痛に作用する物質などが出ることもわかっています。

    ・ 循環の改善

    筋肉・神経周辺の血流が改善されます。

    ・ 自律神経の安定

    胃腸の働きなどもよくなります。

    ・ 過緊張の弛緩(筋緊張緩和)

    実はこの作用の効果が大きいかもしれません。筋弛緩作用があるので過緊張がなくなります。筋緊張が改善すると循環も改善され、痛みも抑制され、血流も促進され、自律神経の安定作用もあるのです。

     

    (3)腰部脊柱管狭窄症の鍼灸臨床研究

    様々な論文や臨床研究が存在しますがここでは粕谷大智先生 らの腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療の臨床的研究という論文をもとに考察していきます。

    対象

    対象患者は間欠性跛行を主症状としMRI.CTなどの画像所見からLCSと診断された62例であり,男性36例,女性26例で,年齢は平均67.3歳。

    鍼治療

    自覚症状や理学的検査、画像所見より判断した責任高位とされる狭窄部周囲の筋緊張や循環状態に変化を与えることを主に目的に行った。具体的には,椎間関節部(椎骨棘突起後縁部より外方2センチを刺入点とする。その際に臀部または下肢に放散痛を感じることがある)や椎間孔に近い部位(椎骨棘突起部より下方3センチを刺入点とする。その際に自覚症状のある部に放散痛や痺れ感を伴う)を、馬尾型に対して腰椎の棘突起間や椎間関節部周囲,第2仙骨孔の位置にある次膠穴を中心に症例に応じて置鍼(15分間)・雀啄などの普通鍼や低周波通電〔1 HZ・15分間)を行った。治療間隔は週1回で,3ヶ月時に治療効果の判定を行った。

    結果

    62例の治療成績は著効14例、有効17例、やや有効19例、無効12例

    無効なものも多いものもよくなっているケースが多い印象である。

    (4)まとめると・・・

    筋緊張が改善されると、痛みが抑制される血流が促進され循環が改善されます。良い循環になることが多いです。また例えば下肢の痺れや冷えで悩む方に灸施術を行うと最初は感覚が鈍くなってるために熱さを感じない方も多くいますが「熱さを感じる(知覚神経刺激)→血流が促進→循環が促進」という反応が起こり、好循環に導くこともできます。その結果痺れや痛みなどの症状が改善されることも多いのです。お悩みの方はまずは一度ご相談ください。

    妊娠を希望される方への鍼灸

    妊娠を希望される方が「鍼灸」に興味を持つケースがあります。結論から言いますと気質的な疾患でない場合つまり機能的な働きが落ちている場合に効果があります。具体的にいますと子宮や卵巣そのものの異常はないものの生理不順・基礎体温のばらつき・自律神経の乱れ・ホルモンバランスの乱れなどに対して有効です。弊所でもたまに質問されますのでどのような効果があるか?など以下に詳しくまとめていきます。

    (1)機能的な状況で鍼灸が有効

    妊娠を希望される方で鍼灸を視野に入れる方は病院での検査を受けて「特に異常なし。(原因不明と言われることも。)と言われ、プラスアルファの治療として何かできないか?と思い鍼灸を選択する方が多いようです。病院での検査はいろいろあります。

    ・ 基礎体温検査

    ・ 血中ホルモン測定

    ・ 子宮卵管造影検査

    ・ 精子検査

    ・・・など様々です。妊娠を希望される方で悩んでいる方がいきなり鍼灸院に相談に来ることはあまり多くありません。ある程度の検査をすでに行っている方が多いです。原因がはっきりわかるような気質的な疾患とは、例えば子宮内膜症、卵巣のう腫、卵管閉塞などを指しこれらが原因で排卵、着床などに問題があり妊娠に至らないことが多いです。これらの診断を受けた方はすでに病院での治療を進めていることも多いです。

    (2)鍼灸の効果

    鍼灸の施術は緊張を取ってホルモンバランスを整えたり浮腫みや冷えとる効果があります。その結果妊娠を希望する方にも

    ・ 冷えやむくみの改善

    ・ 自律神経の安定

    ・ ホルモンバランスの安定

    などの効果がありプラスの影響を与えます。気質的な問題がないのならば男性も同時に施術を受けられるとよいかもしれません。

    (3)トンデモに要注意。温泉と同じ。代替補完医療の考え方。

    妊娠を希望される方はスピリチュアルな部分もありまた困っている方も多いため「トンデモ」と言われるようなニセ医学が入り込む余地がどうしても大きい分野です。弊所では病院の診察をしっかり受けながら補完する形で鍼灸をオススメしています。当たり前のことを当たり前に施術します。鍼灸というのは温泉に似ています。その効果を疑う余地はありませんが温泉に入っていれば病院に行かなくてよいか?というとそんなことはありません。病院の治療と鍼灸施術は否定しあうような関係ではなく補完しあうような関係が望ましいです。病院の診断結果や診察方法を否定することはしません。しっかりお話を聞かせていただきプラスアルファの治療になるような施術を心がけます。何でもご相談ください。