婦人科疾患(月経困難症、PMS症候群)とその評価について

婦人科疾患(月経困難症、PMS症候群)とその評価について

鍼灸治療は骨盤周辺の緊張を和らげて血流を促進するため婦人科疾患に効果があることが多いです。更年期障害や月経困難症に関する論文や研究も多数存在します。中高生や若い方にも多い婦人科疾患「月経困難症、PMS症候群」についてその概要や評価について詳しく書いていこうと思います。

<1>月経困難症について

・ 月経直前ないし月経時に下腹部痛や腰痛といった症状を主症状とし種々の症状(腹部膨満感、悪心・嘔吐、頭痛、下痢、脱力感、食欲不振、イライラなど)を随伴する病的状態、のこと。

・ 月経困難症には機能性(原発性)月経困難症と器質性(続発性)月経困難症とがある。→

器質的な原因としては子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮頚管狭窄、骨盤内癒着、子宮奇形などがある。

・機能性月経困難症の原因は、子宮から多く産生されるPGF2によって子宮筋の過剰収縮が起こり虚血に陥ることによって発症する。

・鍼治療は月経痛の軽減に対して有効。ただし鍼治療の機序に対する研究はない。→

鍼鎮痛の作用ではないか??と言われている。

<2>月経困難症の鑑別
~器質性・機能性??~

簡単な特性と鑑別方法を書いておきます。

発症時期
・ 機能性は思春期
(初潮後3年以内が多い)

・ 器質性は多くは成熟期。
20歳以降

痛みの発生時期
・ 機能性は月経直前から開始後

・ 器質性の多くは
月経前から2~4日目

痛みの持続期間
・ 機能性は短い
(数時間から2日以内)

・ 器質性の多くは
持続的か周期性

その他
・ 機能性は月経時のみ

・ 器質性は月経時以外でも痛み。
性交時、排便時など。

加齢による変化
・ 機能性は増悪なしか
むしろ軽減・消失
妊娠分娩後は消失・軽減傾向。

・ 器質性は変化なし。
増悪する例もある。
妊娠分娩後も変化なし。
減弱。

<3>月経前症候群 について
(premenstrual syndrome: PMS)

・ 月経前 3-10日の黄体期に続く
身体的あるいは精神的症状で、
月経発来とともに減退・消失する。

・ いらいら、のぼせ、
腹部膨満感、下腹部痛、
腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、
頭痛、乳房痛、落ち着かない、
憂うつの順に多くみられる。

・ 月経前不快気分障害
(premenstrual dyspholic disorder
: PMDD) は、
精神症状が主体で強いものをいい、
PMSの最重症型に位置付けられる。

産婦人科の必修知識
日本産科婦人科学会 編より

<4>PMSメモリーとは

日誌記録的な即時的記録法(前向き記録)が症状の自覚と正確な診断に有意義であることが指摘されて日本で開発されました。

症状リスト

(1)身体症状

下腹部症状>>
下腹痛
腰痛
下腹部がはる

血管神経症状>>
頭痛
頭が重い
肩こり
めまい
手足の冷え

消化器症状>>
食欲が増す・なくなる
下痢・便秘
食物の嗜好の変化
水分代謝症状
むくみ・のどがかわく

乳房症状>>
乳房が痛い・はる

皮膚症状>>
にきびがでやすい
肌荒れ
化粧ののりが悪い

そ の 他
疲れやすい
眠くなる
おりものがふえる
体がスムーズに動かない
(ぎごちない〕
アレルギー症状
(鼻 、目など〕

(2)精神症状

イライラ
怒リやすい
攻撃的になる
無気力
憂うつ
自分をつまらない
人間だと思う
弱気になる
涙もろい
不安が高まる

ほか・・・

<4>鍼灸の利用方法

まずは婦人科専門医などに相談することをお勧めします。何が原因で症状が出ているのか?確認したうえで鍼灸を併用するのが良いと思います。前述のように痛みに関して改善報告がありますし身体の調子が整うので劇的に改善することもあります。鍼灸と同じく漢方でよくする方法もあります。まずはご相談ください。