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    しつこい痛み(慢性疼痛)について

    腰痛や頭痛などをはじめ、「身体の部位がとにかく痛い。病院に行っても治らない。薬では改善しない。」という方がいらっしゃいます。すべてではありませんがこれらのしつこい痛み(慢性疼痛)に鍼灸等が有効な理由を書いていきます。薬で改善しずらい痛みも存在します。ストレス性の痛みが典型的です。それらは確かに鍼灸で改善することもあります。しかしながらまずは原因の特定や経過観察も大事なので基本的には病院と鍼灸治療の併用を勧めることが多いです。(詳しくは初回カウンセリングで状況を良くお聞きしますがなにかご心配な点などあればお気軽にお尋ねください。)

    痛みの分類について以下にまとめていきます。

    (1)慢性疼痛が起こる理由・分類・薬剤

    1、侵害受容器性疼痛

    炎症成分・発痛物質の増加で起こります。組織の損傷を感知して起こる痛みです。切り傷・骨折・肉離れなど・・・ほとんどの痛みはこれに当たります。変形性質関節症、がん、偏頭痛、緊張型頭痛などもこれに当たります。痛み止めの薬が有効とされています。痛み止め(NSAIDsのセルコックスやロキソンニンなど)や外用薬(バップ)などが処方されます。

    2、神経障害性疼痛

    神経線維が傷害されると起こります。例えば神経根の圧迫=手根管症候群 神経の損傷=糖尿病など また幻肢痛といって切断した手が痛むことなどもありますし帯状疱疹後の神経痛もこれに当たります。神経系が痛みに敏感な構造になってしまうため痛みの原因がなくなった後も痛みが続くことがあります。

    神経ブロック注射や内服薬ではリリカやトラムセットなどが処方されることが多いです。

    3、中枢機能障害性疼痛

    脳の疼痛記憶やストレス、鬱により痛みが増します。サインバルタやりーぜなどの抗うつ剤が処方されることもあります。

    (2)慢性疼痛とは??トリガーポイントとは?

    数か月から数年にわたり持続や再発を繰り返す痛みのことです。通常以下のいずれかに当てはまる痛みは慢性疼痛とみなされます。

    ・ 痛みの元の原因になったケガや病気がなくなった後も3か月以上の痛みが続く

    ・ 数か月から数年にわたり再発したり消えたりする

    ・ 慢性疾患(がん・関節炎・糖尿病・線維筋痛症など)が原因で起こるものや治らないけがに伴うもの

    慢性疼痛があると痛みに対する神経系の感度が非常に高くなってしまうことがあります。少しの刺激でも敏感になってしまうのです。(以下イメージ図・恐怖ー回避モデル)またある場所から別の領域へ痛みが放散することもあり、この場所をトリガーポイントということもあります。鍼灸治療ではこのトリガーポイントを狙って治療することもあります。

    (3)病院の薬に関して

    病院では薬物療法が主体となります。痛み止め系のお薬ですが痛みが軽減する場合もありますがなかなか改善しない場合もあるのです。また胃の不調を起こすなどの副作用もあります。そのような場合、病院の薬や痛みとうまく付き合いながら鍼灸治療などの方法も視野に入れてもいいかもしれません。鍼灸は薬を使わないで良い方法の一つであり、薬を使わないで良いことはすでにたくさん薬を飲んでいるお年寄りや病気の人にとって大きなメリットになります。

    (4)鍼灸治療に関して、その他

    鍼灸治療は痛み全般に効果があります。筋肉を緩め血行をよくする作用があるためです。また鍼灸を行うと脳内からモルヒネ用物質という鎮痛作用がある物質が出ます。(鍼灸と痛み抑制の研究は様々なものが存在しますが参考までに明治鍼灸大学の研究のリンクを貼ります。)

    トリガーポイントを治療することで痛みやしびれが驚くほど緩和されることもありますがケースバイケースです。特に痛みは心理的・社会的影響(ストレスや体質)の影響も大きいために改善は個人差があります。まずは一度ご相談ください。