鍼治療をがん患者に提供するためのガイドライン
という論文を読んでいました。
このガイドラインは、
「役割と責任」
「鍼治療の基準」
「鍼治療の適応と考えられる患者」
「禁忌症と注意事項」
「鍼治療」
「検討と監査」
に分かれて記載されています。
このガイドラインは、
英国の臨床医師が鍼灸治療
(主に鍼治療) を推奨するため、
意思決定の根拠とともに、
エビデンスに基づきより
良い診療・施術が行えることを目的に
作成されています。
日本とは事情が少し違う部分があり
また治療者が読むための論文ですが
癌患者の鍼治療適応について
の部分を抜粋しご紹介させていただきます。
(鍼治療の適応と考えられる患者、より)
3.1 一般的な適応は以下の通りである
3.1.1 一般的な鎮痛アプローチに反応せず、
疼痛が残存する患者
3.1.2 過剰な鎮静剤投与などのような、
通常処方に対して副作用を有する患者
3.1.3 既存の薬物の減量を望む患者
3.1.4 術創周辺(術創瘢痕)の疼痛のように
鍼治療に反応しそうな疼痛を有し、
それに対する薬物投与の中止を望む患者
3.1.5 従来の鎮痛処置を拒否する患者
自己による鍼治療、
単刺もしくは効果を維持するために必要な留置鍼による
いくつかの限られた部位への施術。
3.2 緩和できる可能性がある
特定の症状を以下に示す。
3.2.1 従来の治療に反応しない口内乾燥の患者
3.2.2 手術後や化学療法により2次的に生じる難
治性の悪心・嘔吐
3.2.3 進行癌による呼吸困難
3.2.4 乳癌、前立腺癌またはその他の癌に伴う
血管運動性の症状に対して、投薬に反応しない
か、副作用を回避するために薬剤の代わりに鍼
を選択する場合
3.2.5 腹部または骨盤内癌患者の治療による直
腸もしくは膣の出血を伴う放射線直腸炎
3.2.6 手術または放射線療法(放射線療法に起
因する潰瘍を含む)により治癒しない潰瘍
3.2.7 難治性の疲労
3.2.8 一般的な治療が無効であった
その他の症状(例えば不眠症)
(上記・リンク内論文より抜粋)
・・・また鍼治療は必ずしも
「最後の手段ではないこと」
も書かれています。
医師の行う標準医療を行うことに加えて
行えるようになれば
生活の質(QOL)向上につながります。
たとえば・・・
放射線治療後だるくなり寝ている
→
腰が痛くなる
→
鎮痛薬をたくさん飲んでしまう
(アセトアミノフェン 商品名カロナールなど)
という悪循環を
腰が痛くなる
→
鍼治療で腰痛を緩和させる
→
鎮痛薬飲む量が少なくなる
という好循環に変えることが期待できます。
*ただ一般的にがんの疼痛は
我慢しないほうがいいものもありますし
また鍼灸治療は断薬・減薬を
勧めるためのものではございません。
鍼治療を標準医療の中にうまく取り入れながら
行うことを勧めています。
薬の飲み方なども
必ず医師にも相談してください。
鍼治療を行うことで
生活の質が上がってくることが期待できます。
一度ご相談ください。