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    中高年の方のしびれ症状ご相談

    田無北口鍼灸院では「手や足にしびれが続いている。鍼灸をやれば治るか?」という相談も多いです。結論から言いますと絞扼障害・神経根圧迫などは鍼灸治療で改善することが多いです。ただ一口にしびれ(痺れ)といってもいろいろな原因で起こりますし緊急性がある場合もありえますので細かく解説してまいります。お困りの方の参考になれば幸いです。

    (1)末梢神経が原因で起こるしびれか?中枢神経が原因で起こるしびれか?

    わかりやすく説明するためにカンタンに分類します。ご了承ください

    中枢神経が原因で起こるもの:脳・脳幹・脊髄の障害が原因のものです。

    脳血管障害(脳梗塞,脳出血),脳腫瘍,多発性硬化症(脳,脊髄),脊髄腫瘍,脊髄空洞症,脊髄梗塞など脳や脊髄の障害される多くの疾患により.痺れがおこります。これらは緊急性があるものも多いので注意が必要です。

    末梢神経が原因で起こるもの:手足や大観の神経が原因のものです。

    少し詳しく見ていきましょう。まず神経線維の太さ・機能など。神経線維は以下のように分類されます。

    Gasserの分類
    直径(μm)
    伝導速度(m/S)
    主な機能
    有髄
    12 ~ 21
    70 ~ 100
    運動,筋固有知覚
    6 ~ 12
    40 ~ 70
    触覚,運動覚
    4 ~ 8
    15 ~ 40
    触覚,圧覚,筋紡錘円神経
    1 ~ 6
    5 ~ 15
    触覚,温覚,冷覚,圧覚
    B
    1 ~ 3
    3 ~ 14
    有髄節前,自律神経
    無髄
    C
    0.2 ~ 0.3
    0.2 ~ 2
    痛覚,温冷覚,節後自律
    ・・・

    Aαが運動神経線維,Aβが触覚神経線維,AδとC線維が痛覚神経線維,B線維は自律神経系の節前線維,Aδはチクチクした痛み,C線維はジーンとした痛みに関わり、触覚神経線維であるAβは,痛覚神経線維であるAδとCの活動性を抑制する機能があるといわれています。さらに細かく末梢神経障害を分類します。

    ・ 単神経障害

    手根管症候群(正中神経の障害)肘部管症候群(尺骨神経の障害)橈骨神経麻痺 など

    ・ 多発単神経障害

    血管炎症のニューロパチーが代表的。糖尿病でも見られます。局所の末梢神経栄養血管の血流障害によるもの。

    ・ ポリニューロパチ

    糖尿病性神経障害、自己免疫性の末梢神経障害など

    ・ ★ 神経根症

    椎間板ヘルニアや頚椎症など。鍼灸院でも多く見られる疾患です。

     

    (2)部位別に見た痺れをきたす疾患

    実際に鍼灸院に問い合わせされる方は「手がしびれている」「足がしびれて痛みがある」などという表現をされる方が多いです。

    ・ 片手がしびれるのか?

    ・ 両足がしびれるのか?

    ・ 手足がしびれるのか?

    でも推測される疾患は違います。どのような状態が考えられるか?まとめていきたいと思います。

     

    <1>片側・手のしびれ(一側上肢)

    ・ 手根管症候群

    ・ 肘部管症候群

    ・ 胸郭出口症候群

    ・ 頚椎症

    ・ 脳梗塞

     

    <2>下肢(足)の痺れ

    ・ 腰椎症 :

    椎間板の膨隆、骨棘の形成など。

    椎間板ヘルニアと同様に神経根圧迫によりおこる。

    ・ 絞扼性神経障害:

    腓骨神経麻痺,外側大腿皮神経障害,

    足根管症候群など

    ・ 腰部脊柱管狭窄症

    ・ 下肢閉塞性動脈硬化症

    ・ 脊髄動脈奇形 ほか

     

    <3>四肢(手足)の痺れ

    ・ 自己免疫性ニューロパチー

    ・ 糖尿病性抹消神経障害

    ・ 血管炎症末梢神経障害

    ・ 傍腫瘍性ニューロパチー(がんなど)ほか

     

    <4>鍼灸治療に関して

    緊急性があるものを除き絞扼障害・神経根障害などは鍼灸院で対応可能です。なかなか改善されない痺れが上記のように筋緊張からくる圧迫の場合鍼灸治療がとても有効になります。必要な場合や緊急性がある場合は病院への受診も勧めます。なかなか改善しないしびれでお悩みの方は是非一度ご相談ください。

    ★ 参考 日本内科学会雑誌103号より