前庭神経炎・メニエール病・突発性難聴他。めまいと鍼灸治療について。

前庭神経炎・メニエール病・突発性難聴他。めまいと鍼灸治療について。

例えば、めまい症状を訴える病名の一つに「前庭神経炎」(ぜんていしんけいえん)というものがあります。症状としてはめまいが突発的に発症し強い回転性のめまい感が数時間から数日続きます。耳鳴りなどの耳の症状が伴わないことが特徴になっています。原因としては前庭神経の炎症ですがなぜ炎症が起こるのかはあまりよくわかっておらずウィルス感染なども考えられています。

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めまい症状で鍼灸院へ相談にいらっしゃる方は数多くいらっしゃいます。上記のように「耳鳴りなどを伴わないめまい」をお持ちの方が来所された場合まずは耳鼻咽頭科で検査を受けることをオススメしています。診断基準があるのでまずは医師による診察を受けるのが良いでしょう。何が原因でめまいが起こっているのか?早期に把握することは非常に大切です。ストレス性・筋緊張が原因なのか?前庭神経の問題なのか?緊急を要するのか?知っておくことが良いでしょう。

鍼灸の施術により緊張の緩和や血流促進、炎症反応の緩和など期待できますが「前庭神経炎」に対するはっきりとしたエビデンス(論文や根拠)は見当たりません。しかし血流を促進したり周辺筋肉緊張を緩和させることが症状改善の役に立つことは疑いようがありません。ですので鍼灸治療は自信を持ってお勧めできることが多いです。

「どのタイミングで何かを受診すればいいか?」わからない方などは遠慮なくご相談ください。弊所では適切に病院への受診も勧めます。

以下、めまい症状を伴う疾患についてまとめていきます。ご参考までに。

(1)回転性の目まい グルグル・ぐるぐる

自分がぐるぐるしたり周りがぐるぐるするなど感じられます。特徴としては以下のことがあげられます。耳の中の平衡器官に急激な変化が生じた時に起こりやすいといわれ耳鳴りを伴うことが多いです。以下のような疾患があります。

・ 良性発作性頭位めまい症

耳の異常によるめまいの中でもっとも多いといわれます。内耳の前庭にある耳石がはがれ、三半規管に入り込んでしまう病気です。 朝起きるときなど頭を動かしたりすると回転性めまいが起こりますがすぐに楽になって症状が消えます。めまいの持続時間は数秒から数十秒くらい。

・ メニエール病(内リンパ水腫)

内耳を満たしている内リンパ液が増え過ぎ内耳がむくみ、圧迫することでめまいが起こります。この状態を内リンパ水腫と呼び、めまいのほか、難聴・耳鳴り・耳のつまり感など伴うことがあります。発作時のめまいは激しく、嘔吐することもあります。めまいが治まるまで、数時間から1日、ときにはそれ以上かかります。めまいが起こると難聴が悪化し治まると正常に戻るか程度が軽くなります。

・ 外リンパろう

外リンパ瘻(ろう)とは、耳の内耳(ないじ)という部分を満たしているリンパ液が内耳から中耳に漏れることによって、さまざまな症状を起こす病気です。けがや内外から内耳に圧がかかることによって起こることが多いと言われています。めまいのほか難聴や平衡障害など、さまざまな外リンパ瘻の症状が現れます。聞こえが障害されるので、周りの音が聞こえにくくなります。

「水が流れているような音がする」

「水の中にいるような音がする」

という表現をされる方も多いです。

・ 前庭神経炎

突然、回転性の激しいめまいが起こります。2~3日続いた後、徐々に症状は軽くなりますが、立ちあがった時や歩行時のふらつきは、長期間続くことが多く、日常生活に支障をきたすことがあります。悪心(おしん・気持ち悪い感じのこと)や嘔吐を伴うことがありますが、耳の聞こえには全く異常がないことが特徴です。風邪をひいた後に発症することが多いため、ウイルス血液の循環の障害が原因ではないかと考えられています。

・ 椎骨脳底動脈循環不全症

椎骨脳底動脈の循環が一時的に悪くなり、脳幹部の虚血状態を来たすとめまいや嘔気、嘔吐などの症状が現れます。ひどい場合には意識障害もきたします。この脳幹部の一過性脳虚血状態によりめまい発作を繰り返す状態を椎骨脳底動脈循環不全症(VBI:Vertebrobasilar Insufficiency)と呼びます。回転性めまいが多いですが、浮動性めまい、クラッとするめまいが起こることもあります。視界がぼやける、気が遠くなる、吐いてしまう、手がしびれるなどの症状を伴うことが多いです。難聴や耳鳴りはほとんど見られません。

・ 脳卒中(脳梗塞・脳出血)

緊急性がある疾患です。めまいのほか以下のような症状があります。不安な場合は自己判断せずにすぐに病院等で診察を受け専門家に相談しましょう。ろれつが回らなくなる、言葉が出てこなくなる片側の顔や腕足が突然しびれる、物が二重に見える、突然の激しい頭痛・・・など

・ 突発性難聴

ある日突然、片側の耳の聞こえが悪くなる疾患が突発性難聴です。40代~60代に多く、発症率は約3千人に1人と推定されています。何月何日に発症したとはっきりわかるのが特徴で、難聴が徐々に悪化したり、日によって聞こえの程度が変ったりすることはありません。また約3割にめまいが起こ りますが、一時的なもので、繰り返すこともありません。

 

(2)動揺性(浮動性)めまい フワフワ・グラグラ

自分の体がフラフラ・グラグラ・ゆらゆらするように感じるめまいのことをいいます。原因不明のことや脳の病気で起こることも多いです。

以下のような疾患が代表例です。

・ ひどい中耳炎

中耳炎がひどくなるとフワフワした目眩が出ることがあります。

・ 脳の病気

脳梗塞・脳出血・脳腫瘍など

 

(3)くらっとするめまい

以下のような場合にくらっとするめまいが出ます。

・ 高血圧

・ 低血圧(起立性低血圧)

いわゆる立ちくらみのような状態です。

・ 不整脈

・ 低血糖症

・ 心因性・その他ストレスなど

(4)まとめ 

めまい症状はさまざまで必ずしも上記のような症状に当てはまるとは限らず病院でもなかなか診断名がつかないこともあります。また上記でもあげましたが脳疾患など重大な疾患が隠れている場合もあるので注意が必要です。

弊所では

・ いつからどんな症状が出てるか?

だけでなく

・ 病院に行ったか?

・ CT/MRIなど検査は受けたか?

・ どんな診断が出たのか?

・ どんな薬が出ているのか?

なども詳しくお聞きしながら施術を行います。

(5)めまいと鍼灸の施術

東洋医学的な考え方で言いますと目がかすんで目の前が暗くなるのを眩(げん)といいます。ぐるぐるものが回って見えたり揺れ動いて見えるものを暈(うん)といいます。この二つが良く同時に起こることから眩暈(めまい)と呼ばれます。まためまいは「目眩」とも書きますが元々は目がかすんで頭がくらくらすることを目眩(もくげん)といいました。眩暈の原因については中国の医学書古典「内経」にもかかれていて

「みな肝に属す」・「上気不足」・「髄海不足」

などと説明されています。鍼灸にはめまいを直接止める作用はありませんが全身の気血バランスを整える施術を行えば症状が安定してきたり、症状が出ずらくなることも多いです。まずはお話をじっくり聞かせてもらいますのでご相談ください。