月: 2021年3月

    「アトピー性皮膚炎は鍼灸でよくなりますか?」というご質問に関して。

    結論から申し上げますとしっかり集中すればほとんどの場合で状態は改善します。ただし時間がかかることもありますし、あくまで補完的な施術となります。鍼灸をしていれば何をしなくてもいいという意味ではありません。極端な治療をお勧めすることはありません。現代医学的な治療を否定することもありません。

    鍼灸とアトピー性皮膚炎の論文はたくさん出ているのですが一例をあげますとこちらの論文には抗ヒスタミン作用があることや脳に働きかけかゆみや痛みを鎮めることなどが書かれています。東洋医学的には筋肉を柔らかくし血の巡りをよくすることで症状が安定すると考える方が多いです。時間さえかけて鍼灸治療すればほとんどの場合で症状は安定します。

    現代医学的には・・・現段階ではアトピーの根本的な治療法は確立されていません。ステロイド外用薬が治療の中心となります。これは症状を抑えるための対症療法です。しかしステロイドや対症療法がダメという意味ではないです。症状を抑えることが非常に良いこともあるのです。かゆくて寝れないときなどはQOL(生活の質)を考えて上手に使うことも大事です。「脱ステロイド」のようにあまり極端な治療はお勧めしません。もちろん、マイナス面もあります。ステロイドとは、副腎皮質から自然に分泌されるホルモンの一種で、免疫を高める作用があります。そのホルモンを外用薬として一時、人工的に補うことで皮膚症状を楽にしますがステロイドを長期間大量に使用すると、逆に副腎皮質が機能低下を起こしてしまいます。その結果、皮膚がちりめん状に縮んだり、色素沈着を起こしたりします。

    鍼灸では何ができるか??鍼灸医学に「アトピー」という考え方はありません。赤い湿疹や痒みを体質の変化や臓器の失調、環境からの影響として捉えます。長年アトピーに悩んでこられた患者さんには肩こり、便秘、顔のほてりと足の冷えなど様々な随伴症状が見られます。とくにアレルギーと便秘などおなかの状態を関連付けて考えることが多いです。こうした症状を同時に治すこともアトピー性皮膚炎の治療には欠かせません。自律神経や免疫系を安定させる目的でも鍼灸を行います。得に筋肉が固い方には念入りに鍼灸施術をします。柔らかくし気血水の流れをよくすることが早期改善につながると考えます。最初は週に1,2回の施術をし治療に集中することをお勧めします。またたくさん鍼灸をすれば必ず良くなるという性質のものでもありません。合わない方もいますし、無理なく続けていけるかどうかも肝要です。まずはご相談ください。

    <鍼灸とアトピー性皮膚炎解説動画>

    婦人科疾患(月経困難症、PMS症候群)とその評価について

    鍼灸治療は骨盤周辺の緊張を和らげて血流を促進するため婦人科疾患に効果があることが多いです。更年期障害や月経困難症に関する論文や研究も多数存在します。中高生や若い方にも多い婦人科疾患「月経困難症、PMS症候群」についてその概要や評価について詳しく書いていこうと思います。

    <1>月経困難症について

    ・ 月経直前ないし月経時に下腹部痛や腰痛といった症状を主症状とし種々の症状(腹部膨満感、悪心・嘔吐、頭痛、下痢、脱力感、食欲不振、イライラなど)を随伴する病的状態、のこと。

    ・ 月経困難症には機能性(原発性)月経困難症と器質性(続発性)月経困難症とがある。→

    器質的な原因としては子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮頚管狭窄、骨盤内癒着、子宮奇形などがある。

    ・機能性月経困難症の原因は、子宮から多く産生されるPGF2によって子宮筋の過剰収縮が起こり虚血に陥ることによって発症する。

    ・鍼治療は月経痛の軽減に対して有効。ただし鍼治療の機序に対する研究はない。→

    鍼鎮痛の作用ではないか??と言われている。

    <2>月経困難症の鑑別
    ~器質性・機能性??~

    簡単な特性と鑑別方法を書いておきます。

    発症時期
    ・ 機能性は思春期
    (初潮後3年以内が多い)

    ・ 器質性は多くは成熟期。
    20歳以降

    痛みの発生時期
    ・ 機能性は月経直前から開始後

    ・ 器質性の多くは
    月経前から2~4日目

    痛みの持続期間
    ・ 機能性は短い
    (数時間から2日以内)

    ・ 器質性の多くは
    持続的か周期性

    その他
    ・ 機能性は月経時のみ

    ・ 器質性は月経時以外でも痛み。
    性交時、排便時など。

    加齢による変化
    ・ 機能性は増悪なしか
    むしろ軽減・消失
    妊娠分娩後は消失・軽減傾向。

    ・ 器質性は変化なし。
    増悪する例もある。
    妊娠分娩後も変化なし。
    減弱。

    <3>月経前症候群 について
    (premenstrual syndrome: PMS)

    ・ 月経前 3-10日の黄体期に続く
    身体的あるいは精神的症状で、
    月経発来とともに減退・消失する。

    ・ いらいら、のぼせ、
    腹部膨満感、下腹部痛、
    腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、
    頭痛、乳房痛、落ち着かない、
    憂うつの順に多くみられる。

    ・ 月経前不快気分障害
    (premenstrual dyspholic disorder
    : PMDD) は、
    精神症状が主体で強いものをいい、
    PMSの最重症型に位置付けられる。

    産婦人科の必修知識
    日本産科婦人科学会 編より

    <4>PMSメモリーとは

    日誌記録的な即時的記録法(前向き記録)が症状の自覚と正確な診断に有意義であることが指摘されて日本で開発されました。

    症状リスト

    (1)身体症状

    下腹部症状>>
    下腹痛
    腰痛
    下腹部がはる

    血管神経症状>>
    頭痛
    頭が重い
    肩こり
    めまい
    手足の冷え

    消化器症状>>
    食欲が増す・なくなる
    下痢・便秘
    食物の嗜好の変化
    水分代謝症状
    むくみ・のどがかわく

    乳房症状>>
    乳房が痛い・はる

    皮膚症状>>
    にきびがでやすい
    肌荒れ
    化粧ののりが悪い

    そ の 他
    疲れやすい
    眠くなる
    おりものがふえる
    体がスムーズに動かない
    (ぎごちない〕
    アレルギー症状
    (鼻 、目など〕

    (2)精神症状

    イライラ
    怒リやすい
    攻撃的になる
    無気力
    憂うつ
    自分をつまらない
    人間だと思う
    弱気になる
    涙もろい
    不安が高まる

    ほか・・・

    <4>鍼灸の利用方法

    まずは婦人科専門医などに相談することをお勧めします。何が原因で症状が出ているのか?確認したうえで鍼灸を併用するのが良いと思います。前述のように痛みに関して改善報告がありますし身体の調子が整うので劇的に改善することもあります。鍼灸と同じく漢方でよくする方法もあります。まずはご相談ください。

    婦人科系疾患の「更年期障害」、とその評価について

    鍼灸治療は骨盤周辺の緊張を和らげて血流を促進するため婦人科疾患に効果があることが多いです。更年期障害や月経困難症に関する論文や研究も多数存在します。中高年の方に多い「更年期障害」についてその概要や評価について詳しく書いていきます。

    <1>更年期障害と原因など

    「更年期に現れる、多種多様の症候群」です。器質的変化に相応しない自律神経を中心とした不定愁訴を主訴とする症候群のことです。

    原因については未だ不明のことが多い。現在のところ内分泌的因子(卵巣機能低下)、心理・性格因子、社会文化的因子など3つの要因関与が指摘されている。

    ・検査について

    病態は加齢に伴う卵巣機能の低下が視床下部一下垂体の変化をもたらし自律神経失調症・内分泌・免疫系の失調症をきたすもの

    現代医学的な検査ではホルモン測定(ゴナドトロビン(FSH)、エストロゲン)基礎体温測定などを行う。評価表としてクッパーマン更年期指数などがある。

    ・エビデンスについて

    ホットフラッシュに対するシステマティックレビューでは無知両郡と比べては有効だがシャム鍼やプラセボ鍼との比較ではエビデンスレベルは低い。難治性の肩こりに関しては筋弛緩剤よりも有効。

    <2>評価表としてクッパーマンの
    更年期指数・詳細

    以下のような質問から指数を出していきます。

    (1)顔が熱くなる(ほてる)
    (2)汗をかきやすい
    (3)腰や手足が冷えやすい
    (4)息切れ、動悸がする
    (5)寝つきが悪い、眠りが浅い
    (6)怒りやすい、イライラする
    (7)くよくよする、憂うつになる
    (8)頭痛、めまい、吐き気がある
    (9)疲れやすい
    (10)肩こり、腰痛、手足の痛み

    <3>鍼灸院の利用方法

    更年期障害かな?

    ・・・
    と、思ったらまずは自己判断せずに婦人科・内科等で医師の診察を受けてください。診断基準が存在します。医師の処方する薬があまり合わなかったり、あまり改善が見られない場合に補完的に鍼灸治療を利用したり、漢方など併用するのが良いでしょう。どこへ相談してよいかわからない場合弊所から婦人科や漢方内科もご案内できます。お気軽にご相談ください。上記のように鍼灸治療は特に「肩こり」の改善などに有効です。ホットフラッシュや自律神経症状もしっかりと対応できますのでご相談ください。

    ★重要★通常医療を否定しない。代替医療ではなく「補完代替医療」という考え方。

    (1)補完代替医療とは何か?

    一般的に日本の病院では「通常医療」、「西洋医学」、「現代医学」と呼ばれる医療が行われます。医学は科学技術の発展とともに様々な病因の分析や治療法の開発がなされ今日までに進歩してきました。一方で生活習慣やストレスなどに起因する精神疾患、アレルギー疾患、がんなどについては必ずしも容易に克服できない状況が続いています。医学にも得意・不得意がありそのような背景からも健康食品やマッサージ、鍼灸など通常医療に組み込まれないいわゆる「補完代替医療」が広く国民に利用されているという現状があります。

    (2)補完代替医療の種類

    例としては以下です。

    国家資格・国の制度に組み込まれてるもの:

    はり灸、あんまマッサージ指圧、
    ほねつぎ、漢方医学の一部、
    サプリメント(栄養機能食品など)

    その他:

    カイロプラクティック、整体、
    ヨガ、音楽療法、アユルベーダ、
    ホメオパシーなど

    (3)統合医療、代替医療、補完代替医療

    アメリカは国家的な取り組みとして1998年にNational Center for Complete mentary and Altanative Medicine(NCCAM)を設立しています。当初NCAAMは補完代替医療をComplementary and Altanative medicine=「一般的に通常医療とみなされない医療、ヘルスケアシステム、施術、生成物などの総称」と定義していました。Altanative medicineが代替医療の訳でこれは通常医療である西洋医学を否定する意味合いがあることから現在は「Complementary health approaches」すなわち「補完代替医療」という用語を用いるようになってきました。

    *参考*
    医歯薬出版
    「補完代替医療とエビデンス」より

    かつて代替医療

    いま代替補完医療

    と覚えておくとよいでしょう。

    また統合医療というのは医師管理のもと通常医療・西洋医学に代替補完医療(鍼灸など)を統合し患者中心の医療を行うものです。

    (4)鍼灸などを行う上で、大事な考え方

    補完代替医療は素晴らしい面もたくさんありますが一方でがんなどの重病にかかった有名人が「怪しげな民間療法にハマリ通常医療を受ける機会を逃しかえって悪い結果になってしまった」というような残念なニュースをきくこともあります。大切なのは通常医療を否定しないという考え方です。以下、国立がんセンター「補完代替療法を考える」から大切な考え方を載せておきます。がんだけでなくすべての疾患に当てはまると思いますので代替補完医療と呼ばれるものを検討する際には参考にされるとよいでしょう。

    (以下抜粋)

    あなた自身に問いかけてみましょう

    ・ この補完代替医療は、自分に合っていると思えるか。

    ・ この補完代替医療は、心地よいものか。

    ・ この補完代替医療の施行時間は、長すぎないか。

    ・ この補完代替医療を行うのに、通院距離は遠くないか。

    ・ この補完代替医療を行うのに、予約は簡単に取れるか。

    ・ この補完代替医療を行うのに、お金がかかりすぎないか。

    ・  補完代替医療を受ける場所やスタッフに不快な気分を感じなかったか。

    ・  補完代替医療の専門家は、標準的ながんの治療をサポートしてくれるか。

    また鍼灸や一部漢方などは国内海外ともに研究データが豊富で厚生労働省の管理する「統合医療情報発信サイト」にもたくさんエビデンスが掲載されています。民間療法・代替補完医療というと同じように聞こえる方もいるかもしれませんが千差万別です。よくチェックされることをお勧めします。

    私自身の考えでは通常医療を理解していない人が発信する補完代替医療の情報は無意味です。それどころか害が大きいです。臨床試験のこと、薬のこと、医学用語など・・・理解していない人が勧める補完代替医療は疑ってかかることをオススメします。通常医療を理解していないと、どこからどこまでが補完代替医療の守備範囲か?わからずにクライアントに不利益を与えます。がんやアトピーが治らないのは製薬会社の陰謀、などと極端な話をする人もいます。通常医療を否定するような施術やサプリ、また簡単に、根拠なく「治る・良くなる」という方法ははお勧めしません。厚生労働省なども情報発信しています。よく検討しましょう。

    なぜ妊婦さんは腰や肩が痛くなるのか??疲れやすくなるのか?(後期、中期、初期)

    よく聞かれるので理由をまとめてまいります。まずは初期~中期の理由です。

    (1)ホルモンバランスの変化やストレスなど

    妊娠初期は体の中で様々な変化が起きています。そのため緊張が強くなり痛みも感じやすくなります。

    (2)貧血

    47358647_s

    妊娠すると女性の体はどんどん血液量が増えてきます。血液の増加は妊娠5週ころから始まり妊娠32週前後にピークとなります。血液は赤血球や白血球、血小板などの「血球成分」と血液中の水分である「血しょう」に分けられますが妊娠中の多くは血しょう成分が増えて血液を薄くしていくのです。なぜ血液が薄くなるのでしょうか?それは胎盤に血栓ができないようにするため。です。血栓ができてしまうと胎児に十分の血液が遅れず栄養不足になってしまうため防ぐ目的があります。出産時の出血により失う血液量を事前に増やしていくため。からも血液はどんどん薄く増やされていくのです。しかし血液が薄くなるということはデメリットも存在します。最大のデメリットとして挙げられるのは貧血です。ちょっとした運動でも疲れやすくなってしまいます。妊娠中は鉄分を食事で補給しながら適度に体を休めて生活するとよいでしょう。

    以下は妊娠中期・後期の理由です。

    (3)重心。下がり後ろに移動していく

    妊婦さんの中には、腰や肩の痛みを訴える方が多いです。・・・人の重心は通常の生活を送る際には骨盤の真ん中にある「仙骨」のあたりにあるとされています。妊娠してお腹が大きくなるにつれ重心の位置は下がり後ろに移動していくのです。これが妊娠中の体型や動きやすさに大きな変化をもたらしこの体型の変化が、普段とは違う負担を体に与え、腰や肩が痛くなることがあるのです。また、重心が低くなるため身体を安定させるために、下半身にぜい肉がついてくるようになります。そして今までと同じように歩いているつもりでも足がなかなか前に出なくなり、疲れやすくなったりするのです。

    (4)視界。遮られ、すべての動作が緩慢になる

    体型の変化がありお腹がせり出してくるので、妊婦さんは足元が見えにくくなり視界も悪くなります。特に怖いのが段差などで慎重に歩かなくてはならないために神経や力も余計に使うことになるのです。

    ~ご注意~妊婦さんの鍼灸は16週以降・安定期に入ってから

    鍼灸でそれらの緊張を和らげ、負担を減らすことはできますが安定期に入ってからの施術をオススメしております。安定期に入らないうちは胎盤形成が完成していないため、施術を行うことでのかえってマイナスになってしまうこともあるのです。またそれぞれの時期で、各種調整やマッサージの刺激量を減らしたりすることも大切です。妊婦さんへの鍼灸施術について書かれた論文でも13週を一つの目安としています。詳しくはご相談ください。

     

    「治療に集中」しないと、よくなりません。

    病院での治療も、鍼治療もすべて同じだと思いますがどんな治療していても、自分から治したいという意思を持ち、治療に集中しないと、よくなりません。とくに腰痛や自律神経症状などの生活習慣や体質の問題が絡む慢性的な疾患はそうです。

    一例をあげますと膝が痛い方がいたとします。学校や仕事が忙しいから、という理由でたまにしか来ない方と計画通りにしっかり通院する方どちらが治るでしょうか??

    また、本当は仕事の方が大事で治療は面倒だと思っているが家族に言われて仕方なく治療に来た、予約の電話も家族がするというような方と自ら積極的に通院する方はどちらが治るでしょうか?考えるまでもありませんよね?計画通りにしっかり通院する方、自ら積極的に通院する方が良くなるに決まっています。

    鍼治療だけでなく自宅での運動もしてもらわないと良くならない場合もありますがこの時も

    「忙しいからあまりできなかった」

    というのでは良くならないでしょう。治療に集中しないと何をやっても良くならないです。そういった方はお金も時間も無駄になってしまいますので治療に集中する決心してから治療開始するほうがいいでしょう。また、よくならなくて困るのは私ではなくあなたです。弊所では最初に施術の計画を立ててそれに沿った施術を行っていきます。

    その時、

    「たとえ忙しくても治療に集中しますか?」

    とお聞きします。治療に集中する心構えができていない方はいまは鍼灸施術を受けるのをやめておいたほうがいいと思うからです。、、、とは言え気負う事はありません。できる範囲でベストを尽くして無理なく続ける事も大切です。まずはご相談ください。

    妊婦さんの調整(鍼灸やマッサージ)の目的について~田無北口鍼灸院のまとめ

    妊娠中の調整(鍼灸やマッサージなど)にはどんな目的があるのでしょうか?

    ・ 痛みを取る

    ・ コリを和らげる

    ・ 疲れやだるさを取る

     

    といった直接的なことはもちろん以下のような目的でも調整が行われます。参考にしてみてください。

    1、妊婦をストレスから解放し、胎児の成長を促す

    42454059_s

    妊娠中は妊婦の体内の変化が連続して起こり体を成長させようとする機能が追い付かずに自分ではあまり感じなくとも常にストレスが蓄積されます。ちょっとしたことでも精神的に不安になりやすくストレスを感じやすくなってしまいます。

    その際にも、鍼灸やマッサージで調整を行うことで適応力を発揮できるようになりストレスを感じにくくなるのです。ストレスから解放されると結果的に胎児の成長を促すことになります。

    2、妊娠中の体調を整える

    妊娠中に体調を悪化させてしまうと出産時(分娩異常など)や妊娠時のトラブルの原因となってしまうこともあります。体調管理は赤ちゃんの発育はもちろんのこと育児のためのお母さんの体づくりにもつながります。

    3、ストレスを抑えることで食欲を減らす

    妊娠中はストレスにより食事の量がついつい増えてしまいがちですが調整によりストレスを減らすことで食欲が抑えられます。その結果ボディラインの崩れが最小限でおさまることになるのです。様々な症状やお困りに対応できます。

    その他にも逆子の予防や改善目的で施術を受けられる方もいます。何かあればお気軽にご相談ください。

    産前・産後の恥骨結合炎、骨盤ベルトについて。

    田無北口鍼灸院を訪れる方は出産前後の腰痛などでお困りの方も多いです。中には恥骨結合炎に苦しまれる方もいます。これはサッカー選手など下半身を酷使する方に多く見られる疾患なのですが出産前は体型が大きく変わってしまうため妊婦さんの身体にも痛みが出てしまうことがあるのです。

    <恥骨結合炎について>

    20130129141501

     

     

     

     

     

     

     

     

    恥骨結合炎は骨盤の中心である恥骨付近に炎症が起き痛みが出てしまう状態のことです。妊娠が進むにつれ妊婦さんの骨盤の中心にある恥骨結合が徐々に広がっていき痛みとして感じることがあります。特に妊娠後期では恥骨に結合する腹筋や内転筋などの筋肉群が恥骨結合の離解を進めたり大きくなった子宮が中から恥骨結合を広げるために恥骨周辺に痛みを感じてしまうことがあるのです。

    <恥骨結合炎の症状例>

    ・ 恥骨周辺が押すと痛い

    ・ 起床時に起き上がろうとすると痛みが出る

    ・ 太ももを閉じようとすると痛みが出る

    ・ 寝た状態から体を起こそうとすると痛みを感じる

    ・ あぐらの姿勢を取ると痛みが出る・・など

    <痛みに対する施術など>

    基本的には安静が肝要ですが恥骨周辺に負担がかからないように内転筋群や骨盤周辺の筋肉を緩めることで痛みが緩和されます。また骨盤を固定するトコちゃんベルトなども恥骨結合炎の予防や疼痛緩和に効果があると言われています。*トコちゃんベルトとは商品名です。骨盤ベルトはほかにも様々なものが出ています。自分に合うものをお試しください。

    ただこのような器具は使い方を誤ってしまったり、会わないのに無理して使用を続けるととかえって痛みが強くなったりすることもあるので自己流で判断せずに一度専門家に相談をしたほうが良いでしょう。必ず痛みが緩和されるという性質のものではなくあくまでも補助的な器具です。心配な方は一度ご相談ください。弊所でも骨盤ベルトのつけ方指導を行っています。

    2021年4月5月のお休みに関して

    こんにちは。花粉症の時期が続いていますがいかがお過ごしでしょうか?お休みのスケジュールに関して少し早めにお伝えします。5月はGWの関係で少し変則的にお休みいただきます。よろしくお願いいたします。

    4月:11日(日曜日)、25日(日曜日)、29日(木曜日)

    5月:3日(祝日・月曜日)、4日(祝日・火曜日)、16日(日曜日)、30日(日曜日)

    ・・・ちなみに花粉症・アレルギーに関してですが鍼灸治療は「効果があります」。ただし、鍼灸治療をすればぴたりとおさまる性質のものではないので第一選択、鍼灸治療だけで治すことは勧めません。病院の薬や漢方などと併用しながら試すのが良いでしょう。詳しくはご相談ください。

    妊娠中の「安定期」と鍼灸施術について。

    妊娠中に肩こりや腰痛などに悩まされる方は多いのですがマッサージや鍼灸などの施術は「安定期」に入ってから行う方が良いと言われています。本日は妊娠中の状態を初期・中期・後期に分け「安定期」について説明します。*分類方法はいろいろありますが、わかりやすくするため3段階に分けています。

    (1)妊娠の3段階

    <1>妊娠初期

    8418730_s

    期間

    1週~15週(1か月~4か月)くらいまで

    赤ちゃんの状態

    ・ 胎嚢(たいのう)が確認できる (5週)

    ・ 心音が確認できる (7週)

    ・ 基本的な体の構造ができ神経や血管ができる(10週)

    ・ 胎盤が完成する。内臓が完成する。手足の運動が始まる。

    胎盤からの栄養を受け成長が早くなる(15週)

    お母さんの状態

    ・ 股関節から下腹部、みぞおちからバスと周辺が緊張する。

    つわりが始まる。体がほてるなど(5週~)

    ・ つわりが強くなる。乳首などが黒ずみ始める。(9~12週)

    ・ 基礎体温が下がってくる。便秘がひどくなる。(13~15週)

     

    <2>妊娠中期

    27276724_s

    期間

    16週~27週(5か月~7か月)くらい

    赤ちゃんの状態

    ・ 23~26センチくらいまで大きくなる。胎盤が完成する。(20週)

    ・ 31~35センチまで大きくなる。目を開けるようになる。

    脳神経の発達がピークを迎える。性別がわかる子もいる(27週)

    お母さんの状態

    ・ つわりがほぼなくなる。お腹のふくらみが目立ち始める。

    貧血症状が強くなる。(16~22週)

    ・ 胎動を感じ始める。静脈瘤ができやすくなる。

    痔になりやすくなる。仰向けになるのがつらくなる。(23~27週)

     

    <3>妊娠後期

    38794815_s

    期間

    28週(8か月)以降

    赤ちゃんの状態

    ・ 36~40センチほどまで大きくなる。頭が下を向くようになる。

    胎動が激しくなってくる(31週)

    ・ 41~45センチ程まで大きくなる。お母さんの感情を受けて

    感情の変化が起き始める。(35週)

    ・ 46~50センチほどまで大きくなる。赤ちゃんとしての機能が

    ほぼ完成する。臨月期。(39週)

    お母さんの状態

    ・ 胎動を強く感じる。お腹が急に大きくなってくる。

    妊娠船が出始める。逆子の確認が必要になる(28~31週)

    ・ 息切れや動機症状が起こる。足元がおぼつかなくなる。

    股関節や恥骨の痛みを感じやすくなる。(32~35週)

    ・ お腹が張りやすくなる。トイレが近くなる。

    食欲旺盛になる。基礎体温が不安定になってくる。(36~40週)

     

    (2)安定期とは?

    一般的に胎盤が形成されるころを「安定期」と呼ぶことが多いようです。この時期になると流産などの可能性も格段と下がります。つまり16週目以降が鍼灸やマッサージを行ってもよいとされる期間になります。

    妊婦さんへの鍼灸施術について書かれた論文でも13週を一つの目安としています。16週以降ならば問題ない可能性は高いでしょう。・・・ただ安定期とは胎盤が安定し始める時期のことであり何をやっても安全というわけではありません。あくまで目安です。

    田無北口鍼灸院では手足のマッサージやはり灸を中心にお腹に負担をかけない安全な施術を心がけておりますが痛みや不安を少しでも感じる方にはオススメしません。お気軽にご相談ください。

    マスコミ掲載実績、取材ご協力、SNS(YOUTUBE動画、Instagramなど)の撮影依頼について

    田無北口鍼灸院では取材協力、情報提供なども積極的に行っています。

    ・ こんな情報を探している

    ・ こんな記事を書きたい

    ・ こんな映像がほしい・・・

     

    そういったことでお困りの場合お気軽にお電話やメールにてお問い合わせください。ご協力できそうな場合はお力になりますし私で対応できない場合は同業者等ご紹介します。雑誌やテレビはもちろん映画やYOUTUBEなどの撮影もご相談ください。ただし公序良俗に反するもの(アダルトや暴力性のあるもの等)はお断りします。ご理解ください。

    まずはメールにてご相談いただくのが望ましいですがお電話でも対応します。

     

    電話

    042-497-4586

    O9O-4064-1205

    (Oオーをゼロに変えてください)

    メール

    kenjiroushiraishi@hotmail.co.jp

    (@を小文字に変えてください)

     

    掲載実績などに関して

    (1)2014年、週刊プレイボーイ(集英社)

    寝違えの専門家として、田無北口鍼灸院の白石が集英社、週刊プレイボーイさま(6/30発売号)へ情報提供いたしました。ダルビッシュ投手の寝違えのことや予防法について語っております。

     

    (2)2020年、あとはとき「情報に基づく意思決定と現代医学を否定しないこと」 寄稿(アルテミシア社)

     

    (3)2012年、西東京市社会福祉協議会発行

    「ゆめはーと」さま 治療院紹介していただきました。

     

    (4)2018年、Square社発行冊子

    コメント掲載。

     

    学会発表

    年2回ほど研究発表を行っています。業界紙にも記事が掲載されました。

    患者中心の医療(PCCM)と医学的に説明できない症状(MUS)の鍼灸院での対応について

    少し前から「総合診療」や「家庭医」や「心療内科」などの分野で患者中心の医療(PCCM)や医学的に説明できない症状(MUS)といった言葉が紹介され、対応もノウハウ化され書籍等でも紹介されています。めまい、耳鳴り、胃腸の不調(過敏性腸症候群・機能性ディスペプシア他)・だるさが取れない、、、などの症状が医学的に説明できない症状(MUS)であることが多くその時に患者を診るときに患者中心の医療(PCCM)の考え方が役に立つのです。これらは医師のための知識であることも多いのですがリハビリテーションの分野でのノウハウも見かけることがあります。東洋医学や鍼灸とも親和性が高い話で医師や他職種の方たちがどのような知識を習得しているのか?知っておくのが良いのでまとめておきます。(少し専門性の高い話になりますが一般の方にも役立つ話ですので興味ある方はご覧ください。)

    鍼灸含めた代替医療分野はかつてカウンター的な意味合いで「現代医学は検査中心で患者を診ない。画像や数値ばかり見ている。人を見ない。一人一人をみる代替医療や伝統医学こそが患者中心の医療である。」、「不定愁訴・自律神経失調症など医学的に説明できないような症状をみれるのは代替医療や伝統医学だ。」というニュアンスの言説も多かったように記憶しています(一例)。しかしながら医学は日進月歩で進化しています。検査や数値中心に診るよりも人間全体で見たほうがいい場合もあり、その逆もまたしかりです。現在は患者中心の医療の考え方も数多く登場しています。BPSモデル、NBM、今回まとめるPCCMの話もその一例にあたります。たしかに不定愁訴や自律神経失調症などと言われる分野は鍼灸含め伝統医学が得意なことではあるのですがだからこそ現代医学的にはどのように考えるのか?それらを勉強しより良いサービスを鍼灸院でも提供したいと思うのです。

    患者中心の医療とはPatient-centered clinical methodのことでPCCMと略されたりします。医師の技法は多様で内科医は薬剤による治療に長けており、外科医はさまざまな器具を用いた手術法を習熟しています。その根底に有るのは「症状→身体診察→検査→診断→治療(薬物、手術など)」というプロセスです。PCCMは科学的な診断・治療に加え一人ひとりの患者が抱える諸々の事情を考慮した上で、それぞれにあわせたの検査や治療方針を立て、医師と患者の双方が納得いく治療を展開する臨床技法のことです。これは患者さんの望み通りの医療を無批判に提供するだけでなく、「・・様」とお客様扱いするだけの医療でもありません。医師と患者の関係で議論を重ね共同作業で医療を作り上げていくというイメージが近いでしょうか。

    患者中心の医療を図にすると以下になります。こちらのページを参考にしました。

    1、狭義の患者中心

    ①自分の考えや気持ちに沿っていること ②じっくり話せること、十分な知識を得られること ③家族らと一緒にいられること

    2、広義の患者中心

    上記1、に加えて 2、身体的な安静 3、心の支え4、継ぎ目のないケア も含まれます。

    ・・・一方「医学的に説明できない症状」のことを英語でMedically Unexplained Symptom といいMUSと略されます。これは文字通り様々な症状があり、十分な診察や検査等をしてもその原因を医学的に説明できない状態を指しています。厳密にはさらに類似する概念として機能性身体症候群(functional somatic syndoromes:FSS)、身体症状症(somatic simptom disorder:SSD)などがあります。FSSは「訴えられる症状やや苦悩の程度が確認できる組織障害の程度よりも大きいという特徴がある症候群」のことです。過敏性腸症候群や機能性ディスペプシア、線維筋痛症など個々の診断定義が整っているものもあります。精神面→身体面に影響を及ぼしていると考えられることが多いです。SSDは「一つかそれ以上の身体症状を訴える者のうち身体症状や健康に関する思考や行動、感情が過剰であるもの」と定義されています。FSSとの違いは器質的疾患の有無を問わないという特徴があり身体面→精神面に影響を及ぼしているという見方もできます。不安障害や精神障害の合併も少なくありません。MUSはこれらを包括する概念で一般的には自律神経失調症、不定愁訴などという呼ばれ方をすることもあります。

    そもそもですが、「疾患がないのに症状がある(取れない)のはおかしい」という考え方が医療者だけでなく患者にもあります。またなかなか改善しないような疾患も決して少なくはないのですがその時に状態をよりよくする、QOLあげるwell beingという考え方が重要になってきます。

    鍼灸院へMUSが疑われる方が来所した場合「まずは器質的疾患(病気)でないか?」の確認が重要です。鍼灸院では、病院でどんな検査や診断を受けたか?どんな薬を処方されたか?(当たり前ですが減薬指導などはしません)まずは聞き取り把握していきます。ほとんどの方は病院で検査や診断を受けて「異常がない」と言われていますのでさほど心配はありませんがアメリカのプライマリケアクリニックでは診断エラーも5%生じるというデータがあることを頭に入れておく必要もあります。薬剤の副作用や内分泌・代謝疾患、自己免疫疾患、精神疾患などが隠れている可能性もあります。女性では更年期障害やPMSなどの女性特有の問題と混同される場合もあります。そのため(経過観察等)病院への通院継続を勧めます。患者希望や状況によっては漢方内科や婦人科などの通院も勧めることもあります。まずは鍼灸院でもしっかりとお話を聞かせてもらいます。鍼灸治療も並行して行うことで改善に向かうことも多いです。

    また鍼灸院でも患者が納得するような説明を心掛ける必要があります。患者のフレームワーク(考え方や価値観)を探りそれらを否定せず、信頼関係を築きながらも(必要ならば)病院で医学的検査を受けるよう勧めたりして患者の不利益を回避する必要があります。鍼灸院を訪れる患者のフレームワーク例には以下のようなものがあります。

    ・鍼灸院の先生は親身になってくれる

    ・なるべく薬は飲みたくない。病院に行きたくない。

    ・人に迷惑をかけたくない。

    ・身体を冷やしてはいけない。等

    避けるべき対応としては1、患者のフレームワークに合致しない説明や2、不適切な正常化があります。例えば患っていることの否定、根拠の乏しい「大丈夫ですよ。」、異常がないことの強調などです。「自律神経調整障害モデル」や「シグナルフィルターモデル」などを使って上手に説明することが大切です。

    自律神経調整障害モデル

    交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによって症状が出現すると説明するモデルです。動機や息切れ消化器症状などの説明に向いています。

    シグナルフィルターモデル

    過敏になってしまっている、と説明すると非難されていると取る方がいますが「刺激を感受するフィルターが機能しなくなっている」と説明すると受け入れてもらいやすいです。耳鳴り、過敏な症状に対し有効な説明です。

    まとめ

    田無北口鍼灸院では医学的に説明できない症状に対してもしっかりとお話を伺い、鍼灸というタッチセラピーを通しお気持ちに寄り添う最大限の努力をいたします。その上で現代医学的な考え方の説明や病院紹介などのサポートもしております。なにかあればまずはご相談ください。より良い状態(wellness,well being)を目指していきましょう。

    *参考:総合診療の視点で診る不定愁訴(日本医事新報社)